司法 バックナンバー 2/3
独自
みなさんは「独自」という言葉を聞いて、いいイメージを持ちますか、否定的なイメージを持ちますか。
通常は、「独自の研究」「独自の技術」「独自のブランド」など、いいイメージで用いられることが多いですね。
「独自の発想」という言葉も、いい意味で用いられることが多いです。
法律の世界ではどうでしょうか。
判決に「所論は、控訴人『独自』の考えであって採用できない」と用いられるなど、圧倒的に否定的な意味で用いられます。
法律の世界に「独自」はいりません。
といいますか、ある人の考えが「独自」で終わってしまえば、「単なる変わり者の独りよがりの意見」で終わってしまいます。
自分の考えを、裁判官や他の弁護士に理解してもらい、多くの裁判官や弁護士が、その考え方に賛同してもらわないと、意味がないということです。
ある意見が、多くの下級審裁判所で採用され、できれば最高裁の判例になれば、その意見に「お墨付きを」をもらったということになります。
ある意見が、わずかの「下級裁判所」でしか採用されず、最高裁が「独自の考えにすぎない」として排斥するようなら、全く意味はありません。
あまり、一般の人は、裁判書そのものを見ることは少ないと思いますが(判決裁判所の用意した要旨はマスコミで報道されます)、弁護士は、「独自」と言う言葉を書かれると「ぞっ」とします。
また、相手の主張が「独自の考えであり、誤りである」と書かれると「ほっと」します。