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旅・交通 バックナンバー2/2

エコノミー症候群

エコノミークラス症候群とはなんでしょう。

 長時間、座席に同じ姿勢で座ったままでいることで、膝の裏あたりの静脈の血が流れにくくなり、血の固まり(血栓=血管内の血液が何らかの原因で塊を形成すること)ができてしまう病気といわれています。

 原因は、長時間、座席に同じ姿勢で座ったままでいることにより、膝の裏あたりの静脈の血が流れにくくなり、血栓ができる病気です。
 飛行機の中は空気が乾燥していますので、何もせずとも、だいたい1時間に80mlくらいの水分が失われてしまいます。
 水分補給をちゃんとやらないと、たくさんの水分が失われ、静脈の血が固まりやすくなります。
 なお、水分といっても、ビールを飲んでも逆効果です。ビールには利尿作用があります。
 また、隣の人に遠慮してトイレに立たないという乗客も多いようですが、この謙虚さが生命の危険を招くこともありますので過剰な遠慮は禁物です。また、端的に、通路側に座ればいいことです。

 軽い場合は、片側の足のむくみや痛みがあるといわれています。

 この症状はすぐに分かることもあれば、時間が経って分かる場合もあります。
 重症例では足にできた血栓が肺に詰まり、息が苦しくなり、胸の痛みを訴えて失神することがありますし、最悪、重症の場合には命を落としてしまうこともあります。

 なお「エコノミークラス症候群」という名前がついてますが、ビジネスクラスやファーストクラスでも起こっています。
 ビジネスクラスに乗っていたサッカー選手がエコノミークラス症候群に罹患し、今度は「ファーストクラス」に乗って移動したことがありました。

 症状は、個人差はあるにせよ、フライト中(後半)から、フライト後一週間以内ということが一般的です。
 つまり、機内、空港、旅行後1週間で発病します。
足のむくみはわかりにくいのですが、片足の膝の裏あたりが腫れて痛いというのが他の痛みとの違いです。


 エコノミークラス症候群も、多分にもれず、危険因子(リスク・ファクター)を持っている方がかかりやすいのです。血栓症の危険因子といわれています。
1 血液凝固性が亢進した状態、
2 血流の停滞した状態、
3 血管の壁に障害がある場合

1は、具体的には妊娠・出産後、経口避妊薬(ピル)を服用、先天性凝固異常症、がんなどの悪性疾患によります。妊娠の前後に長時間の飛行機に乗らないようにしましょう。
2は、下肢の静脈瘤のある場合。お年寄りでふくらはぎのあたりに累々と血管が腫れていますよね、そこの血液が滞って固まってしまいます。
3は、それが引き金になって中の血液が固まりやすくなる方です。
 動脈硬化の方、糖尿病、高脂血症、高血圧症、手術・骨折直後の方がそうです。


 対処方法はどのようなものでしょう。
 1 2~3時間に1回は、少し離れたトイレまで歩き、軽く屈伸運動をしましょう。
   座ったままシートベルトを緩めて、足をこまめ-1時間に1回は3~5分くらい、かかとの上下運動をするとよいでしょう。
   立つことによって足に体重がかかり、歩くことでその体重を支えるための足の筋肉が全体的に動いて、血の流れをよくするためです。
 2 水分を適度に取ること。少なくとも、時間にコップ半分くらいの水やジュースで水分補給するとよいでしょう。
 3 きつめの服を避け、ゆったりした服装でリラックスする。血行が悪くなるので、窮屈な姿勢をとったり、足を組んだりしないように気をつけましょう。また、不自然な姿勢で寝込まないよう、睡眠薬は控えましょう。


 病院に行くときの注意を説明はどのようなものでしょう。
1 足の腫れや痛みがでると、整形外科にかかる人が多いです。
  そして歩き過ぎによる筋肉痛ということで、中途半端に治療がなされる事例も少なくありません。血栓が一部残ったままになってしまうこともあります。
2 長時間飛行機に乗った後、片足に腫れや、痛みがでたら、エコノミークラス症候群を疑い、「血管外科」や「循環器科」に行くことが重要です。
  長時間飛行機に乗った後に足が腫れたことをはっきりと医師に伝えてください。
  早期に発見できれば、きちんと治ります。

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