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司法 バックナンバー 1/3

23条照会と懲戒

弁護士は、職務上、住民票や戸籍謄本などをとれるほか、「23条照会」という調査方法があります。

 弁護士法23条の2に定められていますから「23条照会」といわれます。。
「1 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。
2 弁護士会は、前項の規定による申出に基き、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」

 ある人の金融機関・支店の預金の種類・変動・残高(結構拒否されることが多くなってきました)、携帯電話番号やメールアドレスから、契約者の住所氏名を知ったり、結構便利な手続きです。

 個々の弁護士が照会するのではなく、弁護士会長名で照会しますから、「おかしな」「申出の理由」「照会事項」は「補正」されることがあります。

 大阪弁護士会では、嘱託弁護士と副会長が「補正」の担当をしています。

 理由が抽象的すぎますと、回答が出ない恐れがありますし、かといって、理由を詳細に書くと「プライバシーの侵害」とか言われます。

 補正も、一度にしてくれればいいのですが、「受付」「嘱託弁護士」「副会長」と2回も3回も、その都度「やりなおし」をさせられることがあります。
 何回も訂正に行くのは「面倒」です。

 訴状の場合も「受付書記官」「事件担当書記官」「裁判官」とまわりますが、疑問点があれば、付箋をつけて次に回して、裁判官の段階で「補正」を求められます。
 訴状の「補正」は、担当書記官からの連絡が、1回あるだけです。
 23条照会のように、2回も3回も、書類の差替えを求められる事はありません。
 つまり、弁護士会の方が裁判所より「役所仕事」ということになります。

ただ、副会長も嘱託弁護士も、実質「ボランティア」ですし、23条照会担当の弁護士会職員に「派遣」がいること(弁護士会の職員は「非正規雇用」が結構います)を考えると、我慢しなければならないのかも知れません。


 ところで、先日、大阪弁護士会報に「びっくりするような」「懲戒処分」が掲載されていました。

 申出弁護士の申出内容が「プライバシーの侵害」となるから、23条照会も「プライバシーの侵害」となり、申出弁護士を戒告の懲戒処分とするとの内容でした。

 前記のとおり、23条照会は、個々の弁護士が照会するのではなく、弁護士会長名で照会するのですから、申出弁護士だけではなく、これに異論をはさまなかった担当嘱託弁護士、担当副会長、会長も、同時に会立件で懲戒されるのが「筋」のような気がします。
 もともと、結局「プライバシーの侵害」という指摘もなく通ったとのことであれば、申出弁護士も懲戒するべきではないと思います。

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