司法 バックナンバー 1/3
イギリスの王位承継と日本の皇位承継
イギリスでは、王の意思により退位できるようです。
エドワード8世は「王冠を捨てた恋」により、1936年12月11日に、自ら退位しました。王位についたのは1936年1月20日ですから、1年たっていません。
日本の「皇室典範」をご覧下さい。
4条に「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」となっていて、皇位継承は、天皇陛下の崩御のみ、退位を理由とする「皇位継承」は認められていません。
なお、天皇陛下が、精神若しくは身体の重患又は重大な事故により天皇陛下が国事行為を行えなくなったとき、未成年の時などの場合は、摂政がおかれます。
その昔は、天皇を退位し、上皇となった例がありますが、現在の皇室典範では認められていません。また、現在の皇室典範では、いわゆる「女帝」も認められていません。
なお「皇嗣」については、2条に定められています。皇嗣とは「皇太子」「皇太孫」などを指します。
現在の皇位承継権者は、以下のとおりです。
皇太子徳仁親王殿下
秋篠宮文親王仁殿下
悠仁親王殿下
常陸宮正仁親王殿下
三笠宮崇仁親王殿下
寬仁親王殿下
桂宮宜仁親王殿下
なお、3条に「皇嗣に、精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるときは、皇室会議の議により、前条に定める順序に従つて、皇位継承の順序を変えることができる」となっていて、それ以外の理由で、皇嗣(「皇太子」「皇太孫」など)は変更できません。
日本では、チャールズ皇太子をとばして、ウィリアム王子に直接王位が継承されるようなこと、つまり、皇嗣を変えることは「皇嗣に精神若しくは身体の不治の重患があり、又は重大な事故があるとき」を除き皇室典範から不可能です。
ですから「どちらが望ましいか」というような、世論調査は「無駄」です。
もちろん、一時あったように、女帝を認めるために皇室典範を改正すべきかどうかの世論調査は「あり」です。