司法 バックナンバー 1/3
DVからみの離婚事件と弁護士
平成22年6月2日、横浜で、別居中、夫が、妻に離婚訴訟を起こされたことに腹を立て、妻の代理人を務めていた弁護士を殺害するという事件がおきました。
平成22年6月の横浜の弁護士殺害事件から、DVからみの離婚事件の女性側代理人とならない弁護士が増えているそうです。
少し、弁護士も利口になったということでしょうか。
刃渡り約20センチのアウトドアナイフで数回突き刺して失血死させたということから、計画的ということがわかります。
離婚事件を扱う弁護士のうちにも、DVからみの離婚事件は扱わないという弁護士がいます。
当事務所もそうです。
DV事件は、通常夫から妻への暴力です。
妻は、現在住んでいるところを隠している場合が結構あります。
学校も、住民票を移さなくても入校を認め、健康保険も脱退を認めることが多いようです。
住民票を移すと夫に住所がわかってしまいますし、健康保険をそのままにしていては、どこの医療機関で治療を受けているかについて夫にわかってしまいますから、脱退を認めて、どこの医療機関で治療を受けているかわからなくしてしまいます。
調停段階では、別々の日に指定して、絶対「はち合わせ」をしないように工夫し、妻の出頭日を夫に知らせません。
調停がまとまるということは、あまり期待できません。
離婚訴訟ということになると、夫は、弁護士名と事務所所在地しかわからず、妻の住んでいるところが全くわからないということがあります。
妻に対する怒りの矛先が、弁護士に向かうということが起こります。
冒頭のケースは、もしかしたら、妻の住所がわからなかったのかも知れません。
DVからみの離婚事件ですから、凶暴な夫ということが、容易に推測できます。
法律事務所とすれば、いつ、相手方本人が、殴り込んでこないとは限りませんから、DVからみの離婚事件を扱うならば、屈強な男性事務職員がいる事務所でないと危機管理という点から問題があります。
当事務所は、55歳の私と、女性事務員だけですから、DVからみの離婚事件は扱かうことは危険ですね。ですから、扱いません。全く扱ったことはありません。
平成22年6月の横浜の弁護士殺害事件から、DVからみの離婚事件の女性側代理人とならない弁護士が増えているそうです。
少し、弁護士も利口になったということでしょうか。