司法 バックナンバー 1/3
無断駐車と「罰金」
「無断駐車すると罰金1万円を申受けます」という看板があることがあります。
支払わなければならないのでしょうか。
もちろん、法律上の「罰金」ではありません。「罰金」は、私人に納めることはありえません。
現実には、支払う必要がないというのが正解でしょう。
「無断駐車すると罰金1万円を申受けます」という看板を見たという証拠がないからです。
「見ていない」といえば終わりですね。
ちなみに、他の法律事務所へ行くと、机の上に「法律相談30分5250円いただきます」という表示のある事務所があります。
私の事務所は、ホームページなどによる法律相談の予約の電話の際に、必ず法律相談料の案内をしています。
「聞いていない」「見ていない」という人がいると困りますから。
ただ、スーパーやパチンコ店など、不特定多数の客、誰が来てもらっても結構ですというところなら問題はありませんが、そうでない駐車場なら、不法侵入罪に該当する場合があります。もっとも、起訴されるという恐れはありません。
怖いのは、自動車に傷をつけたりする「変人」がいるからです。
逆に、駐車前に自動車に傷がなかったという証拠は、どこにもありません。
やめておくのが正解です。
なお、1万円の「罰金」請求でも、弁護士に頼むと、訴訟の着手金は、最低10万5000円というのが普通です。私の事務所も、そうしています。
逆にいえば、10万5000円以下の金銭請求訴訟を弁護士に頼むと、100%費用倒れになります。
「文句があるのなら、どうぞ訴訟を起こしてください」というのも手でしょうね。
ただ、本人による少額訴訟制度がありますから、平日裁判所に行くのも辞さないという珍しい人にあたった場合、少額であっても、訴訟をおこされないとは限りません。