司法 バックナンバー 1/3
不安商法
「何か高価な壺や印鑑を買わないと一家に不幸が訪れる」といった犯罪的な販売方法もあります。昔は、カトリックでは「免罪符」を販売していたといわれますから、歴史はありそうです。
リフォーム工事業者の営業マンが各家庭を訪問し、巧みなセールストークや専門用語を駆使して地震への不安を煽り、高額な耐震工事を行わせる手法が存在しています。
工事内容は無意味な道具をつけただけであったり、工事を行った結果以前よりも住み心地が悪くなるのが不通です。
「家庭を訪問する」というのがおかしいんですね。
よくあるのは、いくらでも販売数があるのに「限定何台」、通信販売の番組で、売れてもいないのに「もう、ご注文できるのは後わずかです」などという、まあ、上品ではないですが、許容範囲の販売方法の話です。
ある意味では、この「チャンス」を逃すと買えなくなるのでは、という不安をあおって購入に結びつけていようとしています。
人は「不安に弱い」ようです。
商売人は、人の「不安に弱い」という点を利用します。
なお、弁護士はどうでしょう。
弁護士がテレビコマーシャルをする時代ですから、弁護士も「商売」と考える人もいるのでしょうね。もちろん、弁護士も「霞をくって」生きていけるわけではありませんから、「サービス業」の「商売」であるにはちがいないのですが、いたずらに不安をあおるようなことはしないのが普通です。
もちろん、つい最近までは、広告自体ができなかったのですから、広告のやり方は下手で、また、コンサルタントを頼むという習慣はありませんから、弁護士は「自分に頼めば、他の人に頼むよりいい結果がえられます」「他の人に頼めば、悪い結果しか得られません」という「不安をあおる」ようなことは言いませんでした。
「殿様商売」といえば「殿様商売」ですね。
ただ、弁護士自体でも、仕事の質は下がってきている傾向にあります。
本来なら、仕事の量が少なくなっているのですから、1件、1件の仕事を丁寧にするかと言えばそうでもないようです。むしろ、忙しくしている弁護士さんのほうが、仕事が丁寧だったりします。
もちろん、因果関係が逆で、仕事が丁寧な弁護士さんに仕事が集中しているのかも知れません。
ただ、企業ならともかく、一般の方には、弁護士の力量の違いなどはわかりにくいでしょうね。
もとより、旧弁護士倫理43条の「弁護士は、相互に名誉と信義を重んじ、みだりに他の弁護士を誹ぼう・中傷してはならない」というのは当然の礼節です。
もちろん、低いレベルでも、弁護士は弁護士です。
ちゃんと、裁判官、検察官と同じ資格試験である司法試験に合格しています。
司法書士に「がちんこ」の事件を頼むというのは理解しづらいです。少なくとも、私ならそうしません。行政書士がインターネットで宣伝しているから頼むというのも論外です。
基本的に「相手とガチンコで戦う」という「実戦」のトレーニングが全くないわけですから、よほど、自分に有利な証拠がないと「やられっぱなし」になってしまいます。