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司法 バックナンバー 1/3

訟廷日誌

弁護士は、通常「訟廷日誌」をもっています。

 どこが通常の手帳と違うのかといえば、土日の欄が圧倒的に小さいのと、例えば、平成22年の訟廷日誌であれば、昨年、つまり平成21年の10月分から。来年、つまり平成23年4月分くらいまで記載欄があります。翌年5月くらいまで、欄は小さいですが、記載欄があります。

 土日の欄が小さいのはわかりますね。
 裁判所にいかないからです。
 基本的には休みで予定なし、来客のある場合は、時間と、依頼者名だけで十分、裁判所や支部名の記載はいりません。

 来年4月分くらいまで記載欄があるのは、証拠調べなどでは、3ヶ月先に期日が入るということが、最近は少なくなりましたが珍しくなく、また、4月が裁判官の異動期ですから、12月の期日で、4月の予定が入ることがあるからです。
 私の場合、年末の手帳をみると、1月、2月は当たり前、3月にも期日が入っています。

 翌年4月、5月まで、欄の小さい記載欄かあるのは、弁護士会や地方自治体などの法律相談の期日は、毎年5月ころ、来年5月までの期日が1年分一斉にはいるからです。
 なお、これは、大阪弁護士会の話で、よその単位会は知りません。

 なお、昨年10月分から記載欄があるのは、弁護士さんによっては、11月、12月ころから、翌年の手帳を使いはじめる弁護士さんがいるからです。

 もちろん、事件番号一覧を記入する欄や、弁護士会の行事を書く欄もあります。印紙額などは別冊「便覧」になっています。
 また、不動産の取引の立会いの便宜のためなどから、大安、仏滅などが入っています。不動産取引を仏滅にするのは嫌な人が多いのでしょう。


 私は、平成8年に独立してから、訟廷日誌を保管しています。
 現実には、ある1年の分が行方不明になっているのですが、これを機に、単に並べておくのをやめ、手帳同士をホッチキスでとめて、紛失しないようにしています。つまり、現在なら、13冊がアコーデオンみたいに綴じられています。

 現実に、完全に読めるかどうかは別にして、いつ、どんな事件をしたのかがわかります。
 また、毎年毎年、忙しくなっているのがよくわかります。


 若い弁護士さんを中心にして、電子手帳が流行りだしましたね。
 時代の流れなのでしょう。
 私も手を出しかけましたが、一覧性がないため相手の弁護士さんに迷惑をかけるのと、半分以上をしめる、徒歩圏内の大阪高等・地方裁判所の事件と、大阪家庭裁判所や支部、他の地家裁などの事件の区別がつくきにくいため、紙に戻しました。


 ただ、弁護士さんの中には、過去の分について、ちゃんと別の記憶媒体(コンピュータなど)に転記せず、過去の分については「わからない」という人がいます。
 こういう人に限って、事件記録の記載がずさんです。

 少なくとも、3年間は、懲戒請求を受ける恐れがあるのですから、事件関係で、「いつ」「何をしたか」について「わからない」では話になりませんね。


 ちなみに「訟廷日誌」をなくすと大変ですよ。
 ときどき、記録の中に埋もれていたりしますし。
 もちろん、事務員に期日は全て伝えて、同一内容の「訟廷日誌」がある仕組みにはしていますが、伝え忘れがあったりしますし(定期的に照合しています)、仕事外の予定は事務員には伝えません。

 私の「訟廷日誌」は、携帯電話のストラップになっています。
 ずいぶん大きいストラップです。
 行方不明になれば、電話を鳴らせば「ありか」がわかります。
もっとも、「訟廷日誌」を忘れると、携帯電話を「もれなく」忘れるということになりますし、携帯電話がカバンに入っていますから、着信があっても気付かないことが結構あります。

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