旅・交通 バックナンバー1/2
ハブ空港
「ハブ空港」である以上、当該空港に来た旅客や貨物が、当該空港を経由して、他の空港に行くことになります。
東京(成田空港・羽田空港)、ひいては、日本の位置を見てみましょう。
西ヨーロッパからの場合、東京を経由してどこに行くのが合理的なのでしょう。
西ヨーロッパからみれば、アジアのほぼ全域が東京とほぼ等距離にあります。つまり、東京にある空港をハブ空港とすると、直行便より遠回りとなります。
西ヨーロッパにある航空会社からすれば、オセアニアには、バンコクかシンガポールが最短で、東京にある空港をハブ空港とするのは遠まわりすぎます。
アメリカ大陸はあさっての方向で、検討の対象外です。
アメリカからの場合、東京を経由してどこに行くのが合理的なのでしょう。
日本は北アメリカ大陸と東南アジアを結ぶ線上にあります。また、アメリカから行くとすると、東京を扇の中心として東、東南アジアの大都市圏が広がっているという位置関係にあります。
東京にある空港をハブ空港にすれば、変な遠回りも、また、後戻りもなく、東アジアや東南アジアにつながるルートになります。
デルタ航空は、現在、成田空港を、東アジアや東南アジアハブ空港として利用しています。合理的ですね。
オセアニアやヨーロッパはあさっての方向で、検討の対象外です。
東京は、アジアからすると北東のはずれにあります。
アジアからアジアに行く場合、東京にある空港をハブ空港にすれば、変な遠回り、あるいは、後戻りになります。
このような位置にある東京にある空港をハブとして使ってくれるアジアの航空会社や旅客・貨物があるとは思えません。
ということで、成田空港は、現時点において、北アメリカから東アジア、東南アジアのハブ空港となっています。
ヨーロッパ・オセアニア・他のアジアからの旅客便や貨物便のハブ空港となってはいません。
ハブ空港をつくれば、自国の航空会社が潤うほか、他国からの人々が生活品を買ったり、ホテルを泊まったり事をしたり、お金がそこを通って動きます。
日本の場合はそういう事を考えずに、「空港は空港でもうける」という考えですから、滑走路等の使用料が高く、また、燃料費も高いので、各国の航空会社から嫌われています。
もっとも、東京は一大経済圏なので、そんな「せこい」ことを考えるまでもなく、自国からの旅客や貨物、他国からの旅客や貨物は「いや」といっても流れてきます。
第三国からの旅客や貨物を、無理に自国にもってくる必要がなかったのです。
ハブ空港化を、国是として積極的に進めている国は、自国に、それだけの経済力や観光資源のない国です。
例えば、香港(自国の航空会社はキャセイ航空)、シンガポール(自国の航空会社はシンガポール航空)、ドバイ(自国の航空会社はエミレーツ航空)、オランダ(自国の航空会社はKLMオランダ航空)などです。
韓国も、地勢的には日本と変わりません。
しかし、第三国からの旅客や貨物を、自国にもってくることができれば、それにこしたことはありません。
自国の航空会社が潤うほか、他国からの人々が生活品を買ったり、ホテルを泊まったり事をしたりしてお金を落としてくれます。
仁川空港のハブ空港化(自国の航空会社は大韓航空。アシアナ航空の海外の路線はわずかです)を進めています。
人件費、着陸料、燃料費が安いからできることですね。
日本も、将来、経済的力が相対的に落ちて人件費が安くなれば、外国航空会社が、ハブ空港化を考えてくれるかも知れません。
しかし、「人件費」が「安くなる」ということが何を意味するか考えてみてください。
日本は、原則として、外国人の単純労働者を受け入れていません。
他ならぬ日本人の給与が安くなるということですね。