旅・交通 バックナンバー1/2
ナショナルフラッグキャリアの破綻
現実に、平成15年(2001年)に、サベナ・ベルギー航空(SN)が、平成16年(2002年)に、スイス航空(SR)が経営破綻しています。
なお、平成15年(2001年)は、同時多発テロのあった年です。
それなら、日本航空を破綻させ消滅させてもいいようにも思えます。
なおさら、日本の場合は、全日空が残ります。
ただ、ベルギーとスイスの国土の大きさを考えてください。
スイスに国内線があるにはあります。ジュネーブ・チューリッヒ間(約300キロメートル)は鉄道で3時間かかりますから、45分の飛行機で移動する人もいます。ただ、スイス航空の子会社であったクロスエアー(LX)は倒産せず、ジュネーブ・チューリッヒ間を運行していました。
ベルギーの国内線は聞いたことがありません。国土のど真ん中あたりに首都ブリュッセルがあり、主要地方都市へは鉄道により容易に行けます。
ちなみに、現在のスイスインターナショナルエアラインズ(LX)は、スイス航空(SR)ではなく、クロスエアー(LX)の商号が変わった別会社です。
日本は、国土が小さい国というふうに考えている方もおられるでしょうが、スイスやベルギーと一緒にはなりませんし、長細い国ですから、航空機は必要です。
日本航空を破綻させ消滅させると、国際線は全日空や他国の航空会社に代替が不可能ではありませんが、国内線は、南紀白浜・東京間(日3便の往復)など、日本航空しか運行していない路線があります。代替は難しいでしょうね。
まだ、白浜からなら列車で2時間強で、大阪に着きますから、南紀白浜空港に飛行機がとばなくなったからといって、生活基盤は脅かされません。
もっと深刻な路線があるかも知れません。離島や、陸の孤島など生活基盤が脅かされる恐れがある便があるかも知れません。
日本航空の経営危機がいかに深刻でも、「つぶせない」という理屈になるかも知れません。
ただ、ある程度の規模の銀行をつぶせば、経済の一層の疲弊を招くかも知れませんが、航空会社をつぶしても、その影響は限られています。
個人的には、航空会社は、他の航空会社との競争に勝っていかなければなりませんから、退職者の年金など過去の負債(レガシーコスト)と手を切るために、一度破産させて、第二会社に営業譲渡してしまうのが賢いやり方と思うのですが、そうならないところが「甘い」ように思います。