トリビア バックナンバー 1/2
トーナメントとPK戦
オフサイドも知らない人が、勝敗に一喜一憂していました。
なぜ、ベスト16を決めるグループリーグには延長戦やPK戦がなく、引分けがあるのに、決勝トーナメントには引分けがなく、延長やPK戦があるのが不思議に思った「にわかファン」もいたようです。
通常の野球やサッカーの試合は、グループリーグ戦です。
何回か戦い、勝点がトップのところが優勝、次が準優勝となります。
日本のプロ野球は、引分けは「ノーカウント」として計算して勝率を競います。無理に勝点に換算すると、勝ちが2点、負けが0点、引分けは1点です。
サッカーは、勝ち3点、引分け1点、負け0点と、引分けを「冷遇」しています。
これは、「興業上」、守備をおろそかにして無理矢理勝ちにいってくれ、点の取合いになった方が、試合がおもしろいという理由から考えられています。
ちなみに、大リーグ(アメリカとカナダ)の野球には引分けはありません。勝負がつくまでやります。これは、非常に珍しい例外です。
なお、高校野球はリーグ戦ではなく、トーナメントですから、引分けはなく、勝負がつくまでやります。
サッカーも天皇杯などは、トーナメントですから、引分けはなく、勝負がつくまでやりますね。
グループリーグ戦に対するのがトーナメント戦です。
勝残り式トーナメント方式(single elimination tournament)は、1対1の戦いによる勝抜き戦です。
勝抜きといいますが、実質的には、1試合ごとに1チーム脱落させるというルールです。
試合数は「チーム数-1」試合になります。脱落しなかったチームが1チーム残り、そのチームが優勝となります。
準々決勝、準決勝、決勝と1つずつ「あがっていく」というイメージがありますが、必ずしもそうではありません。
勝残り式トーナメント方式が、1試合ずつ敗退者を決めていくというシステムですから、高校野球の地区大会などでは、シードチームは3回戦や4回戦から出場することがあります。
何の問題もありませんね。
準々決勝、準決勝、決勝と1つずつ「あがっていく」というイメージは、興業上から、好ましいとされるため、演出上そうなっています。
「興業」という点は非常に大切です。ただ、勝残り式トーナメント方式の本質は、1試合ごとに1チーム落としていくということにあることを忘れないでください。
サッカーの決勝トーナメントに延長戦やPK戦があるのは、「引分け」では「敗者」=「脱落者」を決められないからです。
まだ、延長戦は、「勝者をきめる」というイメージは強いです。ルールは同じですから。
これに対し、PK戦は、トーナメントの宿命上、「敗者をきめる」ために考えられた苦肉の策です。
「コイントス」で決めるより(日本式なら「じゃんけん」で決めるより)よりは「まし」だろうということですね。
実力というより、「運」が左右されます。本来の時間、延長戦で勝負がつかない、等しい実力のチーム同士の争いですから、PK戦は「コイントス」程度の「運だめし」程度と考えておいた方がいいでしょう。
PK戦は、実力のある選手というより、運のいい選手を選ぶべきということになりますが、誰が運がいいかはわかりません。
必要以上に責任感を感じる選手を選ぶべきではありません。自分のPK失敗でチームが負けたと考える責任感のある選手より、PK失敗は運が悪かったと割切れる「無責任な」選手がいいですね。そのくらいは、わかりそうなものなのですが・・
今回のPK戦に失敗した選手は和歌山県海南市出身の選手です。
和歌山県人の気質からして、失敗は運が悪かったと割切れる「無責任な」人は少数の気がします。
大阪に来てみると、失敗は運が悪かったと割切れる、「前向きな」人が多いのに驚くことがあります。うらやましい話ですね。
そちらが、人生、相当「お得」です。