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トリビア バックナンバー 1/2

レガシーコスト

「レガシーコスト」(legacy cost)という言葉をご存じでしょうか。

 過去の取り決め等の過去の「遺産」(legacy)が、現在に当事者に発生させている負担、費用のことです。民間企業での、過去の退職者への年金や医療費等の費用(終身雇用制度に伴う年功序列型賃金制度による人件費や、厚みを持たせた年金制度から発生するコストなど)が典型例が、レガシーコストの代表です。

 本業が調子のいいときには大きな問題にはなりませんが、本業がうまくいかないとき、レガシーコストが足を引っ張り、時には倒産に至ります。

 年功序列型賃金制度による人件費や、厚みを持たせた年金制度から発生するコストなどのケースでは、アメリカのゼネラルモータースや、日本航空の例が挙がります。

 会社の業績が良ければ、好業績に支えられて、退職者が豊かな老後を楽しむのも自由ですが、業績が低迷しているにかかわらず、退職者が厚遇をむさぼっているのであれば、それは由々しき問題となります。

 日本航空の場合、勤続42年のモデルケース(昭和40年生まれ、18歳入社、60歳退職)で、65歳以降の年金支給額は基礎年金と厚生年金、企業年金を合わせて月48万6000円、年583万2000円。減額後も最高月36万1000円、年433万2000円が支給されるということになっています。
 現役世代でも、これだけもらっている例はありません。
 一部OBの間には、退職金の一部を返上しているから、それだけの年金があるという主張をされておられる方もありますが、会社が、政府補償を受けたり、外資の援助を受けた、地方空港路線を切捨てる前に、年金減額はするべきでしょう。

 国営航空として発足したスイス航空(Swiss air。SR)はあまりにも人件費がかかりすぎたために、計画倒産したのだという噂があります。
 子会社のクロスエア(LX)が、スイスインターナショナルエアラインズとして、何事もなかったように営業しています。
 日本でも、日本航空を倒産させて、日本航空の子会社の1つに営業権移転をさせ、日本航空が「新しい名前の会社」として生まれ変わりましたとしてもよいのかも知りません。

 この手の第二会社への営業譲渡は、中小企業でも結構あり、私自身も関与したことがあります。
 本来の営業は黒字ですから、バブル時代の負債を0にしてしまえば、企業として立派に立直ります。また、勤務成績の良くない社員は新会社に就職させなければよく、社員の志気も上がります。


 金融業界で「レガシーコスト」といえば、消費者金融の「過払金」ですね。
 少しくらい利益をあげても「過払金」で吹き飛んでしまいます。
 たた、潔く潰れるなら、法的手段をとって潰れてくれ、片方で回収しておいて、過払金は払い渋るという会社は「見苦しい」としかいいようがありません。

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