OA・コンピュータ バックナンバー
法律家とデジタルの知識
もちろん、私も例外ではありません。
昔、ストーカー容疑で裁判官が逮捕され、弾劾裁判により罷免されました。
ストーカー・メールを近所のインターネットカフェから送付していたということですが、もう少し「工夫」の仕方があったかも知れません。
万全とはいえないでしょうが、もう少し、発信元が「ばれない」ようにする方法もあるようです。
今回の検察官によるフロッピディスクの「改ざん」もそうですね。
フロッピディスク自体を分析すれば、「改ざん」の経緯までわかってしまいます。
これは「ばれない」方法があるのでしょうか。
裁判官、検察官、弁護士などの法律家が、一般に、デジタル知識にうとい理由は、基本的に、「文系人間」が裁判官、検察官、弁護士になっているからです。
もともと、裁判官、検察官、弁護士になっている人は、ほとんど法学部を卒業した人です。
例外はありますが、司法試験は、他の学部を卒業した人が、簡単に合格する試験ではありません。
法学部の入試には、国公立大学なら、入試科目に、数学、理科(物理、化学、生物、地学)がはいっていますが、配点は、国語、外国語、社会に比べて配点は低く、理数系に強い受験生にとって合格しにくくなっています。
また、私立大学なら、入試科目に、数学、理科は最初から入っていません。
また、ある程度の年をとっている法律家は、ワープロ・パソコンなどのデジタル機器に接したのが、法律家になった後ということがあります。
私が、はじめて、ワープロで作成された文書を見たのが、昭和58年(西暦1983年)、当時、大阪地方裁判所の第7民事部(租税・行政部)の裁判官をしていたときのことです。
当時の「先進的」な法律事務所から提出された準備書面でした。通常は和文タイプですから、16ドットの文字は、「粗っぽく」みえました。
私の司法修習同期(32期)は、裁判官、検察官、弁護士になってから、「ワープロ」なるものを知ったことになりますから、ずいぶんハンディがあります。
裁判官、検察官は強制的にワープロを使うことを義務づけられました。
ただ、弁護士の半分くらいは、ワープロは使えないでしょう。今までは、手書きの文書を事務員に和文タイプさせていたのが、手書きの文書を事務員にワープロ打ちさせるよう変わっただけです。
ですから、裁判官、検察官、弁護士などの法律家、特に、ある程度経験のある法律家に「デジタル知識」を求めるのは「無い物ねだり」ということになります。
還暦間近、57歳の検察官が「FDの知識がなく内容を理解できなかった」としても不思議ではありません。
ただ、そこで、詳細を問いつめ、若い検察官に聞いてみるなどしなかったとするのは不思議ですが・・