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チャイニーズ・ウォール
「チャイニーズ・ウォール」とは、もともと本来「万里の長城」の意味です。
これが転用されて「同一企業内の部門間に設けられる情報障壁」を意味する言葉として使用されています。
例えば、証券会社には、「企業の内部情報を入手する部門」(引受部門)と「取引部門」(営業部門)との間でチャイニーズ・ウオールを設け、情報を遮断するよう証券会社の自主ルールである「内部者取引管理規則」において義務付けられています。
「引受部門」の情報にアクセスできないような、コンピュータシステムの構築するということになります。
証券会社の企業の内部情報を入手する部門と、証券会社の取引を行なう部門が情報を共有していては、仕入れた内部情報に基づき、自己に有利な取引をする(インサイダー取引)をする恐れがあるからです。
チャイニーズ・ウォールをもうけて、「引受部門」と「取引部門」の情報を遮断するシステムを構築すれば、「引受部門」で得た情報に基づき取引部門がインサイダー取引をしていないというシステムを作ろうということです。
李下之冠・瓜田之履ということわざもあります。
もっとも、しょせん人間のすることですから、「引受部門」担当の人間と、「取引部門」担当の人間が「ぐる」になったりすれば全く意味をなさないということになります。
基本的には、ある程度のシステムはつくれますが、最終的には、人間教育と職員のモラルの問題となります。
なお、これに対し「ファイアウォール」は、企業のネットワークのように機密性の高いネットワークを、インターネットのようなオープンなネットワークから分離するために、ソフトウェア、ハードウェアを利用して、基本的には、外部からの不正アクセスを遮断するために構築されます。
チャイニーズ・ウォールに戻って、万里の長城は「文明人」の住む地域に、「野蛮人」(夷狄)を侵入させない目的で構築されました。
証券会社の「引受部門」と「取引部門」、どちらが「文明人」で、どちらが「夷狄」でしょうか。