債務(借金)問題
債務・借金
法人の破産は計画的に
事業をしていない個人が管財人なしに破産する場合は、破産をするための弁護士費用や、予納金、破産申立の印紙代・郵便切手代などの実費は知れています。
いよいよ行詰まったとき弁護士に依頼すれば、お金がなくても、通常は、親兄弟の援助、あと分割払いで受任してもらえる弁護士さんに依頼すれば、なんとかなるものです。
ところが、法人破産と代表者など連帯保証人の破産、とくに従業員がある程度数いるという破産の場合は、「計画的」にしなければうまくいきません。
弁護士費用や予納金は結構な金額になりますし、援助してくれそうな人は、既に会社や代表者が、借りられるだけ借りているでしょうし、法人破産を分割でしてくれるという「お人好しの」弁護士さんはいないでしょう。
通常、売上の回収と支払いとの間には時間差があります。
支払いを事実上猶予してもらうなどする一方、まとまった売掛金を回収した時点で、弁護士の着手金と予納金を支払い、受任通知を出してもらい破産するというのが、通常の流れです。その際、従業員に解雇の通告をします。弁護士が横にいるのが通常です。
とうとう行詰まったという時点で弁護士に駆け込んでも、弁護士の着手金と予納金が準備できなければ「おしまい」です。
夜逃げという選択肢しかないようになるかも知れません。
通常は、弁護士と打ち合わせ、資金繰りなどを見ながら「Xデイ」を設定して、「Xデイ」に弁護士の着手金と予納金を支払い、受任通知を出してもらい破産するということになります。
「計画倒産」とは、一般には、仕入れた商品は、バッタ屋とかに売り飛ばし、現金は持ち逃げするなど、刑法、あるいは、最小限度、破産法の刑罰規定にふれるような態様の倒産のことを言い、弁護士と打ち合わせて「Xデイ」をきめるなどは「計画倒産」とはいいません。
それを「計画倒産」といっていれば、「計画倒産」でない「倒産」は、まずないでしょう。
私は、管財人で1度、申立代理人で1度(もと顧問会社)の2度だけです。
裁判所も、破産管財人も、それが当然と考えています。
なお、いよいよ倒産確定となった時点で、債権者に弁済するのは偏頗弁済(へんぱべんさい。不公平な弁済)となり、法人代表者が免責にならなかったりすることがありえますが、弁護士の着手金と予納金は、「有益な費用」で、よほど金額が多額ではない限り、問題する裁判所や管財人はいません。
「夜逃げ」されることを思えば、裁判所の監督下におく「破産」は、まともな債権者全員にとって有益です。
なお、破産するということになれば、従業員を解雇することは当然で、未払賃金と、30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
これらの労働債権は、税金、社会保険料と同一の優先順位ですが、従業員が路頭に迷うことを考えると、問題視する裁判所や管財人はいないでしょう。
管財人は、通常、破産申立代理人側となることも多く、その点は十分わかっています。
この未払賃金と、解雇予告手当の準備ができるかできないかで、破産の進行は大きく違ってきます。
労働者が満足するようにすれば、破産手続きで必須の経理、賃借物件の原状回復などでの協力も得られやすいですし、何事もスムーズです。
これを怠ると、前労働者の協力を期待するのは甘いです。
思わぬ「内部告発」で、手続きがうまく進まないこともありえます。
いよいよ破産しかないと考えたときは、ある程度早めに弁護士に相談するのが賢明です。
別に、顧問料を支払っていないからという理由で断られる心配は要りません。
ただ、一時的に、労働力を集中しなければなりませんから、多忙で断られることはままあります。
逆に、2月や8月は狙い目です。