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債務(借金)問題

債務・借金

マスコミの世間知らず

昨年、こんな新聞記事がありました。

 「JR北海道が、IC乗車券KITACAについて、クレジットカードでの入金を12月25日から中止した」「入金後、乗車に使わずに、窓口で払い戻して現金を手にするケースがあったからである」「10月の導入以降、クレジットカードで入金後に現金を引き出すためとみられる払い戻しが約70枚、140万円分に上った」「払い戻しには手数料210円がかかるが、通常のキャッシングより金利負担を軽くするのが目的になっている可能性が高い」

 絶対間違っているとまでは言えませんが、ほぼ100%間違っています。
 「210円がかかるが、通常のキャッシングより金利負担を軽くするのが目的になっている可能性が高い」は、「世間知らず」と言われても仕方ないでしょうね。
 2万円クレジットの購入枠でチャージして、1万9790円の現金を手に入れた人が延べ70人いたことになります。東京や大阪では、こんなことができるはずはなく、さすが北海道、牧歌的ということですね。

 クレジットカードには、クレジット枠とキャッシング枠があり、キャッシング枠が小さく、ショッピング枠が大きいため(相互流用不可)、「余った」ショッピング枠をキャッシングに利用しようというものです。

 宝石・貴金属、ブランドの時計、ブランドバッグなどを購入して転売すれば、ショッピング枠でキャッシングができます。
 ただ、売却価格で大きな損をします。

 業者が告訴することはまれですが、詐欺罪に該当します。絶対やめてください。
 ちなみに、これを1回でもすると、自己破産しても、免責が受けられません(つまり借金が0になりません)。
 ということは、破産ではなく個人民事再生ということになりますが、弁護士費用が30万円から35万円にあがり、期間が3ヶ月程度から1年程度にのび、何より、3年間1万8000程度支払わなければならなくなります。

 前記のとおり、IC乗車券KITACAでは、キャッシング枠がいっぱいになった人が、2万円のキャッシング枠を使って、たった210円のロスがあるだけで、上手にキャッシュに換えたものと推測できます。
 クレジットカードの10%以上の金利のキャッシングをするような人が、他銀行のATM時間外手数料にすぎない「210円」を気にするなど通常考えられません。

 あと、個人事業者を主な対象とする「小規模個人再生」が年々増え続けているのに、サラリーマン向けの「給与所得者再生」が年々減り続けているのは、自営業者が苦しいからだという記事もありました。
これも「世間知らず」と言われても仕方ありません。
 「給与所得者再生」が年々減り続けているのは、「給与所得者再生」には、反対票を、ほぼ無視できるという唯一のメリットがあるのですが、通常、業者は誰も反対しませんから(場合によっては、破産されて0になります)、メリット「たるに足らない」ようになり、「手続きの面倒さ」「可処分所得による弁済金の大きさ」など、デメリットだけがある制度ですから、利口な弁護士は、サラリーマンでも、小規模再生を選択するようになったからです。
 サラリーマンは小規模再生を利用できますが、個人事業者は、給与所得者再生を利用できません。

 ということで、新聞記者の程度、それをチェックする上司の無知が目立ちます。
 弁護士に聞いていたとしたら、個人の再整理手続きを知らない弁護士に聞いたんでしょうね。

 裁判員制度でも、誤った解説が多く見られます。

 私の専門分野でそうですから、他の分野も「誤り」がおおいのでしょうね。
 話半分で聞くのが安全です。

西野法律事務所
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