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債務(借金)問題

債務・借金

会社による従業員の信用情報提供の強制

警備業界大手「綜合警備保障」(ALSOK)が、全社員を対象に「トラブル予防」などを理由に、自分の借金総額や返済状況などの信用情報を提出するよう求めていたことが分かりました。

 個人の信用情報機関は、全銀協(銀行系)、CIC(信販・消費者金融系)、テラネット(信販系)、CCB(信販・消費者金融系)、全情連(消費者金融系)などがあります。

 いわゆる「ブラックリスト」に「のる」というのは、これらの信用情報機関に「事故」として「登録」されることで、「破産」「個人民事再生」「任意整理」「延滞」などが、その理由となります。
 過払い返還は、現在、ブラックリストにのらない扱いとなっています。ただ、「過払い」と思っていたら、実は、支払いが残っていた場合は「任意整理」としてブラックリストにのります。

 個人が、免許証等など本人確認資料を示せば、各情報機関は、当該個人の信用情報を開示してくれます。
 ということで、ALSOKは、全社員を対象に、「日本信用情報機構」に、自分の信用情報を開示請求して取り寄せたうえで、提出するよう求めていたということになります。

 本来、信用情報機関の情報は、加盟各社が、個人に与信をする(金銭貸付、立替払など)をするにあたって、利用することしか許されません。
 ですから、問題となっています。
 社員の一部は既に信用情報を提出していたが、ALSOKは作業を中止したそうです。


 確かに、警備会社に、多額の借金のある社員を、現金輸送の仕事や宝石貴金属店の警備からはずしたいという動機はあります。
 破産して免責決定を受けていない人は、警備員にはなれません。

 SECOM創業者の飯田亮滋賀、日本経済新聞の「私の履歴書」に、民間警備会社の草分け的存在であるSECOMの大ピンチは「警備をすべき従業員が窃盗をしたとき」と書かれていた記憶があります。


 もっとも、だからといって、会社が社員の人権やプライバシーを侵害していいことにはなりません。
 「提出任意」としたところで、「提出しない従業員」は「怪しい」ということになりかねませんから、事実上の「強制」に近いといえます。
ALSOKがしたことは妥当ではありません。

西野法律事務所
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