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債務(借金)問題

債務・借金

過払い金が多い場合と司法書士への委任

時々、地方裁判所において、自分の事件を待って傍聴していると、本人が原告席に座り、その後ろから司法書士が傍聴席からアドバイスをしているという光景を見ます。

 司法書士には、地方裁判所の代理権がないからです。

 私が平成20年に扱った事件で、元金が140万円をこえる過払い請求事件を勘定してみました。
 事業者は含みません。すべて通常の個人消費者です。

 弁護士会の法律相談での依頼者1名、1件、法テラスでの法律相談での依頼者2名、5件、前回破産した人の奥さん1人、1件、区役所の法律相談での依頼者1人、2件。
 5名で、のべ9件ありました。
 すべて訴訟提起しています。
 なお、私が受任した任意整理、破産、個人民事再生は、今年の総数で30件以下ですから、6人に1人の割合以上で、元金が140万円をこえる過払いがあったことになります。

 ホームページからの依頼者が1人もいないのも特徴的です。ホームページを見てくる人は、比較的知識があり、ここまで「グレーゾーン」が言われていますから弁護士に早めに相談しますが、「グレーゾーン」など全く知らない人の方が「いよいよ払えなくなって」弁護士会や法テラスに駆け込んで、多額の「過払い金」にびっくり、いままで見たこともないようなお金を手にします。「人生狂わないかどうか」心配です。
 さぞかし、大きな金額を長期間借りてきたんだろうと思われるかもしれませんが、長期間、50万円枠いっぱい、信用がないので29.2%いっぱいという方が多いです。グレーゾーンという言葉は、私から聞いて初めて知ったという人が、大多数です。
 本人の依頼が「破産をしたい」という事件で、せっぱ詰まって駆け込んできた人などに、むしろ大きい過払いがあったりします。

 私と同じ確率だと仮定すると、任意整理、破産、個人民事再生の依頼者のうち、6分の1以上の割合で元金が140万円をこえる過払い債権を有していたことになります。私は、特に事件の「えり好み」はしていませんから、一般に、このくらいではないでしょうか。最高裁判所が、業者に取引履歴提出義務を認めた判決を出してから、おおよそ、その程度の割合のような気がします。
 もちろん、母数が少なすぎて統計的価値は全くありません。
 ただ、債務整理の依頼者で、元金が140万円をこえる過払い債権を有している債権者が「珍しい」「まれ」ということは決してありえません。


 私が、仮に司法書士なら、元金140万円をこえる過払いがあれば、サラリーマンであれ誰であれ、本人を平日に一緒に法廷に行かせて、後ろからアドバイスするでしょうね。
 私は弁護士ですから、依頼者が法廷に行ったことは一度もありません。
 5名の人は、司法書士に依頼せず、弁護士に依頼したことで、平日の有休を取って、行きたくもない法廷に行かずにすんだということになります。


 最近、電車広告で、司法書士の債務整理の広告を目にするようになりました。
 地下鉄、近鉄、京阪、南海、阪神、バスなど。幸い、私が通勤に利用している阪急の神戸線と甲陽線には、司法書士の広告はありません。

 地下鉄御堂筋線なんか、2つ以上の司法書士事務所の広告が並んでいることがあります。
 また、サラ金の広告と司法書士の広告は、わざと並べていないのでしょうが、少し離れたところに、喧嘩仇の広告が併存しています。。


 司法書士は、元金が140万円をこえる場合どうするのでしょうか。

 司法書士が、法律事務所に勤務している場合は問題ないですね。
 元金が140万円をこえる場合、同事務所の弁護士に頼めばいいわけですから。

 そうでない場合は「究極の選択を」迫られます。

 前記のとおり、本人が原告席に座り、その後ろから司法書士がアドバイスをすることが考えられます。
 しかし、本人は、平日に、1人で、法廷の原告席に座って裁判官や相手方代理人とやりとりをしなければなりません。
 書面作成だけなら、合法です。

 弁護士に依頼してほしいと、その部分だけ辞任する。私自身は、「ややこしくなったから放り出した司法書士」の事件を押しつけられたことはありますが、「元金140万円をこえたから辞任した司法書士」は見たことがありません。
 もちろんこれも合法です。

 問題は「ヤミ」で、業者と取引きしていることがありうることです。
 元金140万円をこえる請求をして、示談をしたのでは、弁護士法違反(非弁)で処罰されてしまいます。
 真偽のほどは知りませんが、元金140万円以下の金額を提示して業者と妥結したり、わざと元金140万円以下に抑えて訴訟をしていることがあるのではないかということが言われています。
 背任罪(5年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当します。

 さらに、刑事処罰覚悟で、元金140万円以上の示談交渉をしている可能性もあります。
 神戸の司法書士事務所の、元職員の元金140万円を超える事件を扱っている=弁護士法違反という内部告発もありました。すぐ内部告発した事務員は首を切られたそうですが・・
 この場合、業者に「足下」をみられることは間違いありません。
 弁護士法違反(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)に該当します。

 6分の1の確率(実際は、もう少し少ないと思います)で、本人を平日に法廷の原告席に座らせるのか、弁護士法違反の罪を犯すのか、背任罪を犯すのか、私が司法書士なら、任意整理に手を出さず、登記事務を「黙々」としていると思います。

 着手金・報酬などの条件が同じなら、間違いなく、司法書士より弁護士の方が得な場合が多いと思います。

 弁護士=高い というイメージがあるのでしょうか。
 金額は司法書士と同じくらいです。むしろ、若い弁護士さんなどは、司法書士より安い「戦略価格」で依頼者集めをしている人がいるくらいです。

 そういえば、司法書士の広告には、あまり金額が掲載されていませんね。
 司法書士が処理しきれず、弁護士である私のところに来たという事件もありますが、まず、私と同額か、それ以上支払っています。

 また、弁護士は、弁護士会の紛議・懲戒制度が厳しいので、補助職員を最小限度しか使いません。ただ、一部、広告を打っているような債務整理が大多数と法律事務所は、平気で事務員を使います。懲戒の恐れもあるんですけれどね。
 司法書士は、法務局長が懲戒しますが、弁護士に比べて処分が軽いようですし、補助職員を使うのが常識となっています。

西野法律事務所
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