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債務(借金)問題

債務・借金

過払金計算のゼロスタート

過払い金返還請求をするため、サラ金会社に取引履歴の開示を求めます。

 サラ金によって異なるのですが、アコム(東京三菱UFJ銀行系)やプロミス(三井住友銀行系)は、昭和60年1月ころからの取引履歴を開示してくることがあります。銀行系ではありませんが、武富士も長い取引履歴を出してきます。

 同じ銀行系でもレイク(新生銀行系)などは、十何年前、「49万8554円」という50万円ぎりぎりの残高からスタートしていて、昭和代のものはおろか、平成はじめのものからも出てきません。

 それ以前から取引があるが、それ以前の取引履歴は保管されていませんという主張です。
 意図的に廃棄しているかどうかは別として(少し前まで、GEコンシューマーファイナンスでしたよね)、保管はされていないのでしょう。わざと隠していることが発覚すると、金融監督庁から業務停止等「えらい目」にあいます。

 依頼者の「物持ち」がよくて、あるサラ金の昭和57年1月の当初の契約書をもっていたとします。あるいは、依頼者が、同じころと記憶のあるサラ金の履歴が昭和58年ころであったとします。

 昭和58年11月から昭和61年11月までは、出資法の制限利息が73%、昭和61年11月から平成3年11月までは、出資法の制限利息が54.75%、平成3年11月から平成12年6月までは、出資法の制限利息が40.004%でした。今は29.2%です。
 出資法の制限利息を丸々支払い続けていたとしたら、29.2%なら6年程度、40.004%時代は3年半程度で過払いになる計算になります。

 昭和57年1月から3年もたてば、「過払い」になっていますね。

 不十分な取引履歴を提出しない貸金業者に対し、利息制限に引き直す計算の時、「昭和60年1月」の「49万8554円」を「0」として計算をすることを「ゼロスタート」といいます。

 通常、裁判所は、古い契約書があれば、「ゼロスタート」を認めてくれます。期間の関係で、「ゼロ」でなくても、按分的な金額からのスタートを認めてくれる裁判所もあります。

 なお、貸金業者の取引履歴の保管義務は、会社法432条(旧商法も同じでした)と法人税法上、最低10年です。また、商法(会社法)の関係で、7年未満ということはありえません。

 取引履歴の開示が10年しかなされていない場合、15年前の契約書があれば、例えば「49万8554円」を「0」としてスタートすることになります。
 本来なら、マイナススタートとしたいところですが、確たる証拠(ずっと限度額いっぱい借り続けていたなど)と、本人が裁判所で供述する必要がある可能性もあり「本人が、それだけ過払いが多いなら十分。裁判所に行く可能性があるなら、ゼロスタートでいい」と言われてしまうので、ごく希にしかしたことはありません。結果も、あまり芳しくないのが実情です。
 最初わずかで返済して、ずっと借りていない可能性があるなどとして、結構、裁判所は厳しいというのが実感です。

 内容にもよりますが、ゼロスタート程度なら、本人が裁判所に行って供述する必要はありません。裁判所に絶対に行きたくないという人も、安心して問題ありません。本当に裁判所に行って供述しなければならない段階で、主張を変更すれば、行く必要はなくなります。
 弁護士に依頼すれば、本人が裁判所に行くのは、それくらいです。
 司法書士なら、元金が1社140万円をこえると出頭する必要があります。大きな差ですよね。

 なお、同じころ借り始めた他社の取引履歴があれば、必ずしも借用書は必要がないとされることが多いです。金融業者や訴訟代理人は、反論できません。

 これらによって計算される差額は、50万円ではありません。
 昭和60年からの履歴の場合と十年強の場合では、似たようなときに開始して、似たような金額で終了していても、遅延損害金も入れると、差額が200万円近くなるケースもあります。
 エクセルの最初のスタートの時点の金額をゼロにすれば、簡単にシミュレーションできます。

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