債務(借金)問題
債務・借金
過払い金訴訟増加の影響
事件数の4割程度が過払い金請求訴訟のようです。
弁護士の場合、司法書士のように、取扱金額に制限はありませんから、1件1件分けて訴訟するのではなく、原告複数、被告複数と「できるだけ」「まとめて」訴訟すれば、出廷する手数が省けますし、印紙も郵便切手も安くなりますから、できるだけ「まとめて」訴訟を提起します。
実質的な事件数はもっと多いのかもしれません。
不当利得返還請求事件には、最高裁判所判決が一通り出そろっていて(未解決の問題もあります。これが「ネック」になることもあります)、大した争点がある事件はありませんし、「面倒」なだけですね。
弁護士の書いてきた訴状の数字があっているかどうかなどはわからないでしょう。ましてや、経過日数、利息、元本充当額、残元金の数式があっているかどうかもわかりません。
ただ、一々計算していたのでは事件が処理できませんから、ある程度「えいや」という感じで判決するしかありませんね。
ただ、せっかく、東京地方裁判所や大阪地方裁判所に配属されてきた優秀な裁判官が、「過払い金返還請求」ばっかり処理させられるというのも「もったいない話」のような気がします。
弁護士は、多少「つまらない」「面倒」と思っても、「お金」になりますから、さほど苦痛にはならないでしょうが、一定の報酬を得る裁判官の立場になってみれば「もっと、まともな事件を処理したい」と考えても不思議ではないと思います。
あと、司法修習生も気の毒です。
民事裁判修習をしている司法修習生にとって、あまり「過払い金」の訴訟を見ても「勉強」にはならないでしょうし、現在の司法修習生が、自分の事件をするころになれば、「過払い金」の事件自体が枯渇しているかも知れません。
事実認定が微妙な一般事件、要件事実の複雑そうな一般事件などは、司法修習生が弁論準備室に3、4名くらい退去して傍聴に来て、裁判官と弁護士が「丁々発止」のやりとりをするさまを傍聴しています。
ただ、悪いことばかりではありません。
大阪高等裁判所が「丁寧」に審理してくれるようになったのです。
理由は、過払い訴訟の判決の控訴は、一般事件に比べて圧倒的に少ないからです。
親しい高等裁判所裁判官の話では、過払い訴訟の判決の控訴は、1ヶ部あたり、月1件くらいしかこないとのことでした。
過払い訴訟ラッシュ前は、欠席や公示送達や事実関係に争いのない判決を除けば、かなりの割合で控訴されて、高等裁判所が事件処理に忙殺されていて、かなり「荒っぽい」判決や、記録もろくに読んでいないと考えられる「強引な和解」があったと私自身考えているのですが、実感として、ここ1、2年、高等裁判所の審理が丁寧になりました。
ちゃんと記録を読んでくれた上での判決や和解なら、多少意にそぐわないにしても、弁護士としても納得がいきます。
依頼者も同じです。
さあ、過払い訴訟が一段落したら、地方裁判所民事部の事件はどうなるでしょう。
事件数は減るでしょう。
しかし、訴額が低く、事案複雑な、弁護士にとって「割に合わない」事件が増えると思います。