債務(借金)問題
債務・借金
債務整理事件処理の規律を定める規程
「債務整理事件処理の規律を定める規程」を定めました。
平成23年4月1日受任の事件から適用されます。
要約は「債務整理事件処理の規律を定める規程」の概要にあります。
一般規定については、以下のとおりです。
1 弁護士の事件受任・事件処理方法に対する規制受任弁護士自らが行う個別面談による事情聴取が原則として義務化されます。
2 事件処理方針、不利益事項、弁護士費用及び民事法律扶助の説明が努力義務とされます。
弁護士費用等についても、分かりやすく説明するよう努めることになります。
3 受任弁護士の明示等が義務化されます。
4 過払金返還請求の受任における義務について、過払金返還請求のつまみ食い(ほかに借金があるのに過払金だけを取り返して借金を整理しないこと)ができなくなります。
5 事件処理報告に関する規制として、弁護士は、受任した事件の処理に関し、規程が定める事項について、依頼主に報告することになります。
報酬規制については、以下のとおりです。
1 消費者や零細事業者の任意整理事件の報酬規制が主になっています。
破産事件、個人民事再生事件などは報酬規制の対象外です。
2 着手金の制限はありません。
3 報酬金の制限は以下のとおりです。
a 解決報酬金 1社あたり2万円以下が原則。商工ローンは5万円以下。
b 減額報酬金 減額分の10%以下。
c 過払金報酬金 訴訟によらない場合回収額の20%以下。 訴訟による場合回収額の25%以下。
広告の規制については、以下のとおりです。
1 債務整理事件にかかる報酬の基準を広告に表示するよう努めることになっています。2 負債の処理をせずに過払金返還請求を行うことに不利益がないかのように、広告に表示することが禁止されます。
ということですが、私は、従前どおりの仕事をすればいいことになります。
当たり前のことをしていなかった、弁護士が多いということですね。
宣伝している司法書士も同じです。「過払いのつまみ食い」「報酬のとりすぎ」、司法書士特有の問題として「例え200万円を超えても、140万円での和解」などが考えられます。
私は、当たり前のことを当たり前にやっているだけです。
ただ「解決報酬金」というのは初耳です。関東(東京)の習慣でしょうか。任意整理とするとき、「解決」しないで終わると言うことは「ありえません」。
ただし、1つ気になる点があります。
「17条4項 弁護士は、受任した過払金返還請求事件について、過払金の返還を受けたときは、債務者に速やかに報告し、清算方法を協議した上、清算の結果を書面により報告しなければならない」
すべての債権者が過払いになるなら問題はありません。
一部の債権者が支払い、一部の債権者が過払いとなる場合「過払金の返還を受けたときは、債務者に速やかに報告し、清算方法を協議した」のでは、「自分の債務はどうでもいい」「とりあえず、過払い金から実費と報酬を引いた金額がほしい」という依頼者が出るかも知れません。
まあ、債権がある債権者の債権届の方が、過払いのある債権者の過払い金の振込より、ずっと早いので、問題は少ないかも知れません。
また、すべての債権者が過払いになる依頼者に「調子よく」お金を渡していると、無駄遣いをして、「今度はいついくらはいるのか」(わかっいるはずですが・・)、「もうないのか」(これも、わかっいるはずですが・・)という人もいます。
宣伝広告しているところは「やり放題」ということになります。
司法書士が「債務整理事件処理の規律を定める規程」まで、弁護士に依頼した方が賢明かも知れません。
もしかしたら、広報が足りないだけで、司法書士にも同じような規程ができているかも知れません。そうあるのが当然だからです。
私の調査不足でしたら、気づかれた方は、ご一報いただければ幸いです。