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遺言・相続問題

遺言内容と遺言能力

 認知症などで、遺言能力に疑問があるとします。
相続人の1人が、自分に有利な自筆遺言を書いてもらえることになったとします。
 
 遺言能力に疑問のない遺言者なら、たとえ遺言者が、すべての遺産をくれるといっても、遺留分を考えて、遺留分を侵害しない程度に自分がもらうという内容の遺言書にしてもらうのが、あとでもめることがありません。
 
 しかし、認知症などで、遺言能力に疑問がある場合は、最もシンプルに「財産すべてを〇〇に相続させる」という遺言書を書いてもらった方が有利です。
 
 理由は簡単で「〇〇の財産は〇〇に相続させる」「〇〇の財産はΔΔに相続させる」と延々続く遺言書と、「財産すべてを〇〇に相続させる」という遺言書を比べた場合、前者の遺言書は複雑であるから、そのような遺言をすることは困難であった=遺言無効になりやすいのに比べ、後者の遺言は簡単明瞭であるから、そのような遺言は容易であった=遺言有効になりやすいからです。
 
 なお、遺言者の、遺言当時の遺言能力については、遺言者の入院通院していた病院等医療機関のカルテ(看護日誌、CT・MRI、各種検査内容を含む)により判断されます。
 
 遺言者が生きているときは、相続人が遺言者のカルテのコピーを請求することはできません。
  しかし、遺言者が死亡したときは、法定相続人は、カルテの開示を求めることができます。
  カルテの開示については、日本医師会の「診療情報の提供に関する指針」及び厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」の2つのガイドラインがあります。この2つのガイドラインによりますと、死亡に至るまでの診療経過や死亡原因等の診療情報を提供しなければならないとされています。
 
 ただ、現実問題として、相続人本人の場合は、医療機関に「素人」だと「なめられた」ため非開示とされることがありますが、弁護士に委任して請求すれば、医療機関は、単位医師会とも相談の上、観念してカルテを開示し、コピーとCD(頭部CTなど)を提出してくれます。
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