遺言・相続問題
遺言は公正証書にするのが賢明です
自筆遺言は、形式の定めが厳しく、法律の規定(原則として全文が自筆であること。印鑑が押されていること。日付が明確に記載されていること)を順守しない場合には無効となる場合があります。
あまり、ワープロで遺言書を打つ人はみません。
ただ、印鑑の押していない遺言は、結構あります。
また、日付を「平成〇年〇月〇日」あるいは「201〇年〇月〇日」と記載しないと無効になるのに「平成〇年〇月」や「平成〇年〇月吉日」と、日を特定せずに書いたりして無効になる例は結構多いです。
また、自筆証書遺言は、保管に不安があります。
近親者に内緒にすれば発見されない恐れや、発見されても捨てられる可能性があります。遺言した本人は死んでいますから何ともしようがないのです。
さらに、その遺言書を家庭裁判所に持っていって検認手続きを受けなければならないという手間もあります。
残された遺族は大変です。
戸籍謄本、除籍謄本、原戸籍謄本など、遺族が一生懸命集めなければなりません。
まだ、相続人に子や孫がいれば、遺言をした人が生まれるまでの戸籍をとれば足ります。
しかし、妻と兄弟や甥姪しかいない場合は悲惨です。
遺言した人の兄弟姉妹全員を調べなくてはならず、遺言した人の一世代先にさかのぼらなくてはなりませんし、遺言した人の父に認知した子がいないかまで調べ、遺言した人の兄弟姉妹や子孫の戸籍などをとらなければなりません。
公正証書遺言は、公証人に支払う費用がかかりますが、遺産総額が1億円で4万3000円、3億円で9万5000円とその程度の金額です。
形式不備、紛失、改ざんの心配はありません。
公正証書にすることを強くお勧めします。
ただ、証人が2名必要です。
法定相続人および受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族も証人になれません。利害関係のある人が、公証人の前で、遺言者を威圧して遺言をさせる場合があるかも知れません。
公証人役場に連れてくるのは息子さんや娘さんでも、待合室でまっていなければなりません。また、公証人に出張してもらう場合は、席を外していないといけません。
なお、公正証書遺言の手続きを弁護士に依頼すれば、弁護士+法律事務所事務員で証人2人がそろい、親戚の誰にも知られずに遺言ができます。