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遺言・相続問題

遺産分割で、共有名義にすることは避けましょう

 遺産分割で、不動産を共有名義で残すという遺産分割をすることがあります。

 夫が死亡し、妻と同居の長男が共有取得する場合は、あまり問題がありません。
 いずれ、妻が死に、長男が母の遺産を相続するわけですから、共有特有のことについての問題はありません。

 兄弟が共有することになると、その不動産を譲渡したり、利用方法を変更したりする必要が発生した時、共有者の全員の同意が必要となってきます。
 また、将来相続が発生し、兄弟の相続人の名義になったりすると、共有者間の関係が薄れますます全員の同意を求めることができないこととなります。
 2代3代と相続人の数が増加し、その不動産を売却したりするためには、相続人を確認するだけでも大変な労力を必要とします。相続人の中には、所在不明の者や外国に出国している者がいたりするとその手続きもさらに煩雑になってきます。

 共有不動産の換価は容易でしょうか。

 共有になっているなら、いつでも共有分割できて、お金になると考えると、必ずしもそうとはいえません
 判例があります。
「 遺産分割協議により共同相続人ABの共有となり、その後現在までBが居住している建物につき、Aが共有物分割請求をした事案の控訴審において、ABらは、Bの存命中は本件建物にBが居住し、公的年金等をもって生計を維持し、他方、Aは、Bと別居して賃借アパートに居住し、主として生活保護によって生計を維持することを前提として、遺産分割協議をしたものと推認することができ、その後現在までの間重大な事情の変更は認められないから、Aの本件建物の分割請求は、ABらが本件建物をA及びBの共有取得とする際に前提とした本件建物の使用関係を合理的理由なく覆すものであって、権利の濫用に当たるとして、Aの請求が退けられた事例」(平成25年7月25日・東京高等裁判所判決・判例時報2220号39頁)
 ただ、令和の現在、この判決のとおりになるかどうかは、疑問がないわけではありません。

 不動産等はできる限り単独の名義としていた方が利用しやすいものとなります。
 分割できない不動産を一人の者が相続する場合、他の相続人に代償金を支払うようにすることで、分割や共有とせずに不動産を一人の者に相続させることができます。
 第三者に売却して、代金を相続するという方が、まだましです。

 なお、本当に、代償金が準備できるかどうかも問題です。
 親と子1人(親と同居している。あるいは、親が死んだら自分が住む)が共有にする場合を除き、遺産分割で共有にするということは賢明ではありません。

 調停になってから、きょうだいが、共有で不動産を保有するとの遺産分割をするというのは最悪です。
 もともと、仲が良ければ、調停になどなっていません。
 仲の悪いきょうだいが、不動産を共有名義で分割するということは、いわば、麻薬中毒者が、目先の精神安定を求めて、麻薬に手を出すのと同じようなものと考えた方が賢明です。
 いずれ、もっと大きい問題が、いずれ生じるという確率が高いでしょう。
 ちなみに、私は、きょうだいで不動産を共有するという調停を成立させたことは1度もありません。
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