本文へ移動

遺言・相続問題

遺言書と無効行為の転換

 自筆遺言書に、自筆証書遺言のうち財産目録について自筆することなく、パソコンやワープロを使って作成することが認められるようになりました。
 土地や建物の登記事項証明書、預貯金の通帳のコピーなどを財産目録として使うことも認められます。これまですべて手書きしなければならなかった遺言書のうち、財産目録については手書きでなくてもよいこととされました。
 ただ、財産目録の作成自体は手書きする必要はないのですが、必ずその目録には署名と押印が必要です。各ページに署名・押印しなければなりません。

 以上の例外を除いて、全分が自筆ではない場合、日付がない場合(例「令和〇年〇月」や「令和〇年〇月吉日」と記載されていた場合も含みます)、印鑑がない場合などの場合は、遺言書は無効となり、遺言書がないものとして扱われます。

 他に遺言書がなければ、遺言書なしとして遺産分割がなされ、その前に有効な遺言書があれば、それを有効な遺言書として遺産が分割されます。

 しかし、この場合、死因贈与契約が成立している可能性があります。
 民法554条には「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する」とあります。
 死因贈与と遺贈とは、贈与する者の死亡により効力を生じること、財産を無償(負担付の場合もあります)で与えるものである点が共通です。
 遺贈というのは、遺言書により、法定相続人あるいは法定相続人以外の者に、財産を移転させる贈与です。一番多いパターンです。
 遺贈は、贈与者の一方的な意思表示である単独行為です。
 死因贈与は、贈与者・受贈者の双方の合意が必要となる契約です。
 死因贈与は契約ですが、贈与者・受贈者の双方の署名は必要なく、贈与者の署名だけで十分です。
 もっとも、本当に、受贈者が贈与者に対し、死因贈与を承諾する旨の意思表示をしたかが争いになります。

 遺言書を受贈者が預かっていて、遺言書に封がされてないなら、受贈者は遺言をみていますね。
 それなら、他の相続人にわかりませんから「被相続人の生前、被相続人から○○をもらうといわれたので、ありがたくもらうことにした」と言えば、遺言書は無効でも、生前贈与で、当該遺産はもらえる可能性が出てきます。

 逆に、封に入っていたら、検認手続き(自筆遺言は、家庭裁判所における検認手続きが必要です)において、開封するまでに、あらかじめ、この中に「被相続人から○○をもらうといわれた」と言っておかないと、遺言書は無効、生前贈与は、被相続人との生前の死因贈与契約がないから無効、結局、何もならないということになります。

 封印のあるなしに関わらず、預かっている遺言書を、勝手に開封しても遺言自体の効力に影響はありません。
 印鑑が漏れているので印鑑を押すなどという改変すると、相続権がなくなります。もっとも、子がいれば、子に相続権が移転するだけということになります。

 ただ、家庭裁判所の検認手続きを経ないまま、勝手に開封することは、厳に慎むべきかと思います。
 弁護士が、相続人の目の前で、遺言書を開封するなどというのは、テレビドラマの見すぎです。
西野法律事務所
〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満2-6-8堂ビル407号
TEL.06-6314-9480
 FAX.06-6363-6355
 
お気軽にご相談下さい
電話による法律相談は行って
おりません(土日祝日休)
9時~12時 1時~5時30分

Since June 5th. 2007
TOPへ戻る