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遺言・相続問題

遺言能力

 遺言をするためには、遺言能力が必要です。

 若い方からいくと、民法961条に「15歳に達した者は、遺言をすることができる」と明記されています。
もっとも、未成年者の遺言は、あまりお目にかかりません。

 高齢化が進み、遺言者が高齢化してきています。

 はっきりと診断された精神疾患がある場合もあります。
ただ、年齢を重ねると、やはり記憶力判断力が衰えてきます。
 もっとも、高齢というだけで、遺言能力がないというわけでもないことはもちろんです。

 多く問題になるのは、認知症です。
 認知症というだけで遺言能力が失われることはなく、認知症を患った人も遺言は作成できます。

 認知症はさまざまな病気から生じる症状の一つです。
原因となった病気違いによりますが、時間とともに症状が悪化し、ついには判断能力がなくなってしまうケースもあれば、手術等で認知機能を回復させることができるケースもあります。

 認知症の1つの類型がアルツハイマー型認知症です。
 アルツハイマー病も症状によって軽度、中等度、高度などの段階があります。

 アルツハイマー型の認知症は、時間とともに軽度から重度になっていき、高度が中程度になったり、中等度が軽度になったりはしないそうです。

 認知症の1つの類型に、脳血管型認知症があります。
 脳血管性認知症では、物忘れが目立っていても、判断力や理解力などは低下していなかったり、同じ事をしても出来る時と出来ない時が繰り返し起きたりします。
 脳梗塞や脳出血などで、脳の中に障害が起きている場所そうでない場所がある為や、脳の血流の状態の善し悪しで起こります。
 脳血管性認知症の、出来たり出来なかったりする症状を「まだら認知症」と呼びます。
「まだら認知症」とは病名ではなく、脳に正常な部分と認知機能が低下している部分ができている認知症の症状を表す言葉です。
「まだら認知症」は、「記憶が断片的ではあってもはっきり残っている状態。もしくは、記憶障害が著しい割には、人格や判断力、理解力が比較的よく保たれている状態」だそうです。
 この症状の患者は「ある事柄についてはよく分かるが、他のことはほとんど分からないというタイプ」と、「日によって普通の日と認知機能の低下が著しい日があるというタイプ」の2つのタイプあるようです。

 アルツハイマー型認知症なら、遺言能力があるかどうかは、難しいのですが、まだましですね。
 しかし、脳血管型認知症で「まだら認知症」の場合は、遺言能力があるかどうかの判定は、かなり難しいです。

 私は、「認知症」と診断された場合は軽度であっても、また、特に「まだら認知症」と診断された遺言者には、たとえ、いくら軽度であっても、自筆遺言は遺言能力なしと判断される恐れがありますから、公正証書遺言をするようにアドバイスしています。
 公正証書遺言は、公証人が、意思能力の有無を判断しますから、遺言書ができたということは、一応、裁判になっても、意思能力がありと判断される可能性が高くなります。

 とはいえ、公正証書遺言が、遺言能力なしとして、無効と判断される場合があります。
 私も、公正証書遺言が、遺言能力なしとして無効となった事件にかかわったことがあります。
 公証人が、公正証書遺言を作成できないといわれたら、あきらめるようにアドバイスします。
 仕方がないですね。
西野法律事務所
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