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2015年~2017年バックナンバー

法律事務所の共同経営

法律事務所の経営形態にもいくつかあります。

 私のように、弁護士が1人であれば、弁護士どおしで「もめる」ということはありえません。
 なんと言っても気楽です。
 ただ、ある程度の「資力」と「稼ぎ」は必要です。
 この形で弁護士生活を終えるという弁護士さんも多いです。

 また、経営する弁護士が1人で、イソ弁を1人または複数雇うという形態もあります。
 経営者どおしの利益や経費の分配という問題は起こりません。
 一線から遠ざかろうと思ったら、優秀なイソ弁を共同経営者にするなどして、顧問等を任せ、「あがり」の一部を受取ればいいということになります。

 共同経営の法律事務所、つまり、経営者が複数という事務所が多くなっています。

 大きく分けて、二つの形態があります。
 一つは「収入共同」、もう一つは「経費共同」といいます。
 読んで字のごとく、「収入共同」型では、すべての弁護士の売上を一つの財布にまとめ、経費を支払い、利益を配分することとなりますが、「経費共同」型では、収入は別々にして、経費だけを経営者間で決めた割合で負担し合うという関係です。
 なお、イソ弁は、共同経営者が雇って、イソ弁の給与などの経費は、共同経営者が負担します。

 「収入共同」という形態の事務所は、あまり見ません。
 原始共産主義のようですし、働らいても働らかなくとも、実入りが変わらなければ、働く意欲がわかないかもしれません。

 「経費共同」は合理的に見えます。
 事務員の給料、事務所賃料、事務機器のリース代、電気代等光熱費、電話・FAXの通信費、文房具、インターネットの判例検索の使用料を分担すればよいということになります。
 1人で事務所を維持するとなると、大阪なら1か月100万円ではきかないでしょうが、「経費共同」なら、半分とはいかないまでも、安上がりです。

 一見、もめ事が少なそうに思えます。

 しかし、結構、「経費共同」事務所も、分裂や合併を繰返しています。

 聞くところによると、方針・路線の違いなど高尚なものではなく、経費の負担割合で争っていることが多いようです。

 例えば、弁護士が2人なら2等分、弁護士が3人なら3等分の経費を負担することで何の問題があるかと思われるかもしれません。

 そうは簡単にいかないようです。

 1人の弁護士が収入が多く、あと1人の弁護士の収入があまりないとします。
 普通は、収入の多い弁護士の方が、事務員をよく使うでしょうし、電話・FAXの通信費もよく使うでしょう。

 収入の少ない弁護士が、黙って半分負担していれば争いは起きません。
収入の少ない弁護士が、収入の多い弁護士に、自分の負担割合を減らしてほしいと言うと紛争が起きます。
 ただ、事件が2対1という具合になると、半分半分は不公平ですね。

 気のおけない同期の弁護士どおしで経費共同事務所をつくっても、うまくいかないことがあり、原因は、たいてい「金」だそうです。

 「嫉妬」という漢字には、両方とも「女偏」がついています。
 だから、男性に「嫉妬」はないのかというと、そうでもなく、逆に、女性の嫉妬より「たちが悪い」ということが往々にしてあります。
 同じ事務所にいて、自分はもうからず、他の弁護士がもうかっているのを見て、嫉妬心を起こすということは珍しくありません。

 ということで、結構、「経費共同」事務所も、分裂や合併を繰返しているというのが実情のようです。

 なお、あくまで、伝聞です。
 私は、共同事務所を経営した経験がありません。
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