2015年~2017年バックナンバー
メールの復元
「決め手」となったのはスマートフォンのメールでした。
削除されたメールを復元したところ、野球賭博に関与していること、どの試合にいくら賭けていたかなどが、すべて露呈したそうです。「動かぬ証拠」です。
平成22年の大相撲の野球賭博問題の時も、警視庁が力士の携帯電話を押収し、削除されたメールを復元したことにより、「動かぬ証拠」がつきつけられたことになります。
スマートフォンからメールを削除したとします。
メールはスマートフォンを操作しても見えません。
本当にメールは消え去ったのでしょうか。
違います。
メールを認識できる部分、いわば「表題」部分を消去しただけで、本文はそのまま残っています。
復元ソフトで「表題」部分を元に戻せば、もとのメールを読むことができます。
そう難しい理屈ではありません。
ハードディスクも同じです。
ファイルを消去しても、いわば「表題」部分を消去しただけで、「表題」部分を元に戻せば、ファイルが読めます。
ハードディスクの場合、「表題」部分が消去された部分は、コンピュータから見て「空き領域」になりますから、コンピュータを使い続けると、その部分に新しいテータが書き込まれていきます。
ファイルを消去して時間が経つと(使用し続けると)、新しいテータが書き込まれるため、復元が難しくなり、一部しか復元できなくなります。
USBメモリも同じです。
ファイルを消去しても、いわば「表題」部分を消去しただけで、「表題」部分を元に戻せば、ファイルが読めます。
ファイルやメールを消去したから、存在しなくなったと考えるのは「浅はか」です。
本当にファイルやメールを消去したいとしましょう。
ハードディスクなら、ドリルとハンマーで物理的に読めなくしてしまう必要があります。
USBメモリなら、ハンマーで完全にたたき壊して、海の中に放り込まなければなりません。
スマートフォンなら、SIMカードをはずし、ハンマーで完全にたたき壊して、海の中に放り込まなければなりません。
小渕優子衆院議員の事務所の政治資金問題で、後援会事務所などを家宅捜査した際、会計書類を保存したパソコンのハードディスクは、ドリルなどの工具で穴を開けた形跡が見つかりました。
ここまでされては、復元は不可能です。
WINDOWS XPが事実上使えなくなり、WINDOWS7に乗り換えた方は多いと思います。
法律事務所など、秘密の塊という職種の場合、業者に頼み、パソコンのハードディスクをドリルなどの工具で物理的に破壊してもらいました。
なお、不貞の証拠として、消去されたメールの復元したものが提出されることがあります。
ガラケーでもスマートフォンでも、相手に渡すことは危険です。