2015年~2017年バックナンバー
益税
消費税の「益税」とは何でしょうか。
一般に「益税」とは、消費者が事業者へ支払った消費税のうち事業者から国庫に納入されず、事業者の手元に残る租税利益のことをいいます。
弁護士は、零細業者が多いですから(いずれ淘汰されていくのかも知れません)、結構、消費税の益税が発生します。
平成15年度の税制改正により、消費税の納税義務が免除される売上高(課税売上高)の上限が1000万円(改正前:3000万円)に引下げられました(平成17年分から適用されました)。
たとえば、平成16年までは、売上(税抜)2000万円の弁護士1人、事務員1人の法律事務所の年間経費が1000万円だったとすると、所得は1000万円ですが、預かった消費税100万円(税率5%)は非課税でした。
100万円は、税金もかからず、丸々弁護士の懐に入りました。
100万円は、税金もかからず、丸々弁護士の懐に入りました。
さすがに、3000万円から1000万円に引下げられると、非課税の弁護士はいなくなりました。1000万円の売上では事務所が維持できません。
もっとも、イソ弁など、給与所得の他に、個人事件の売上がある場合、例えば、900万円の売上があるとすると、預かった消費税72万円は非課税となります。72万円は、税金もかからず、丸々弁護士の懐に入ります。
もっとも、イソ弁など、給与所得の他に、個人事件の売上がある場合、例えば、900万円の売上があるとすると、預かった消費税72万円は非課税となります。72万円は、税金もかからず、丸々弁護士の懐に入ります。
あと、簡易課税という制度があります。
本来は課税仕入れ(例えば家賃)と、非課税仕入れ(人件費など)がまざっているのが普通ですが、売上(税抜)5000万円までなら、職種に応じて、売上に一定のパーセンテージ(見なし仕入れ率)をかけて課税仕入れを計算するという方法をとります。
平成15年度の税制改正までは2億円の売上まででした。
平成15年度の税制改正までは2億円の売上まででした。
たとえば、売上(税抜)3000万円の弁護士1人、事務員2人の法律事務所の年間経費が1400万円だったとすると、預かった消費税は240万円となります。
事務員2人の人件費が500万円とします。
事務員2人の人件費が500万円とします。
弁護士の見なし仕入れ率は50%ですから、1500万円が課税仕入れ額となりますが、本来の課税仕入れ額は、人件費が2人合計500万円は課税仕入れではありませんから、現実の課税仕入れは1400万円-500万円の900万円ということになります。
600万円の売上分の消費税を支払わなくてすむことになりますから、48万円が益税となります。
消費税があがるのは誰でも嫌ですが、必ずしも悪いことばかりではありません。