2015年~2017年バックナンバー
ゼネコン・豊洲の乱
築地市場の移転先である豊洲市場(東京都江東区)で「ゼネコンの乱」と呼ばれる氾濫が起きています。
平成30年7月までに終えなければならない追加工事で、ゼネコンが示す工事費が東京都が算出した予定価格より高いだけでなく、入札辞退も相次いでいます。
小池都知事は、ポピュリスト(大衆迎合主義者)の典型でしょう。
客観的な危険もないのに、豊洲市場が危険ときめつけ、豊洲市場の土壌汚染対策の追加工事をすることとしました。
小池都知事は、平成28年夏に就任後、小池は豊洲市場への移転延期を表明しました。
巨額で不透明な費用、情報公開の不足。加えて建物下に土壌汚染対策の盛り土がなされていないことを理由としています。
衛生問題というなら、現在の築地市場のほうが不衛生です。
また、コンクリートの部屋が造られているのですから、盛り土も不要です。
小池都知事は、都発注の公共工事の価格が高いと主張しました。
都議会自民党のドンと呼ばれた内田茂都議(当時)が関係する企業が豊洲の工事を受注していたこともありました。
小池都知事は、平成28年12月、五輪施設の会場見直しが不調に終わったことについて「アタマの黒いネズミがいっぱい見つかった。入札の方式はどうなんですか」と、暗に、ゼネコンを「アタマの黒いネズミ」にたとえる言い方をしました。
少なくとも、ゼネコンは、「アタマの黒いネズミ」には、自分たちが含まれていると受取りました。
小池都知事の念頭にあったのは、五輪施設の会場3棟の入札工事です。
3棟をそれぞれ1社だけしか入札しない「1社入札」で鹿島、清水建設、大成の3社を筆頭とするJV(共同企業体)が予定価格の99%台で落札しました。
結果、予定価格は1回目を60%上回る1000億円超に再設定されました。
平成25年は日本の建設業界が転機を迎えた時期で、東日本大震災の復興工事の本格化に加え、平成25年9月に決まった東京五輪誘致で再開発機運が急速に高まりました。
平成25年度の国内建設投資額は平成18年度以来の50兆円台に乗り、需要の急回復で資材価格は急騰し、人手も足りない状況に陥りました。
大林組副社長の原田昇三氏は、「平成25年以前は、仕事欲しさにひとつの入札案件に複数社が参加していたが、その後はまったく違う」と語っています。
国土交通省は、人件費の見積もりに使う「労務単価」を平成25年度に平成24年度比15.1%引き上げています。
過去最大の上昇幅でしたが、それでも全国の公共工事ではゼネコンが求める価格に至らない入札不調が続出しました。
この環境下で豊洲の入札予定価格60%引き上げは起きました。
ゼネコン側は「当時の事情に触れぬまま、金品をかすめ取る泥棒のように言われては、今後も都の案件で何を言われるかわからない」「プライドはないのか」という強い発言には汚名を着せた小池都知事への強い怒りがあります。
また、ゼネコン側としては、衛生的に何の問題もない工事について、ケチをつけられ、豊洲市場の土壌汚染対策の追加工事をするというのですから、怒り心頭でしょう。
また、今度追加工事をしたからといって、また、政治目的で、ケチをつけられてはかないません。
平成30年7月までに終えなければならない追加工事で、ゼネコンが示す工事費が東京都が算出した予定価格より高くつけたり、入札辞退も始めました。
また、豊洲市場の土壌汚染対策の追加工事に、科学的根拠のないケチをつけられてもかないません。
市場移転スケジュールにのっとれば、追加工事は来年7月までに終えなければなりません。
入札不調で時間に余裕はなくなった。入札をあきらめて随意契約にしたとしても、工期設定という新たな関門が待ち受けます。
小池都知事のポピュリスト(大衆迎合主義者)政治のため、都民は大きな犠牲を払っています。
国政進出をしようとして大失敗したこともあり、政治的に苦境に立たされて、再起不能になった小池都知事に、無理に義理立てしようとする「人のいい」ゼネコンはいません。
下手なことをすると、株主総会で追及され、株主代表訴訟まで起こされる可能性があります。