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年金のマクロスライド
厚生労働省は、平成27年4月、年金の伸びを物価の伸びより低く抑える制度(マクロ経済スライド)を初めて発動します。
厚生労働省は、平成24年9月26日、同スライドによる減額分を織り込んだ来年度の年金予算10兆9587億円(一般会計)を概算要求しました。
減額幅は年末に決まりますが、来年度の年金の伸び率は、通常より1%以上カットされる可能性が高いとされています。
年金のマクロスライドとは何でしょう。
公的年金は原則、前年の物価に連動して増減します。
しかし、平成16年の制度改革で、年金財政が安定するまでその原則を凍結し、年金の伸び率を、物価の伸びから少子高齢化による財政悪化分を差し引いた数値とする仕組みが導入されています。
この制度はマクロ経済スライドと呼ばれ、平成19年度から実施する予定でした。
しかし、物価低迷時には発動できない仕組みで、近年のデフレ傾向の下、一度も適用されていません。
厚労省は景気の回復や消費増税を踏まえ「14年の物価は一定以上上昇する」と判断し、15年度の概算要求に同スライドによる年金減額分を織込みました。
厚生労働省は財政悪化分を1.1%と試算していて、仮に前年の物価が2%増なら年金は0.9%増となる計算です。
マクロ経済スライドというシステムで増減します。
マクロ経済スライドとは、労働力人口の減少率と平均余命の伸び率の合計分(現在は「0.9%」)、年金額を抑制する仕組みです。
端的にいえば、これから少子高齢化であるから、年金受給額を減らしていこうというものです。
1 物価スライド率が0.9%より高いとき。
物価スライド率から0.9%を控除したパーセント増加
2 物価スライド率が0~0.9%のとき
変わらず
3 物価スライド率が0%より低いとき。
物価スライド率分減少
物価スライド率から0.9%を控除したパーセント増加
2 物価スライド率が0~0.9%のとき
変わらず
3 物価スライド率が0%より低いとき。
物価スライド率分減少
ただ、年金受給者の顔色をうかがって、物価スライド率が0%より低いとき、物価スライド率分減少させず、過払いを続けたことは、ご承知のとおりです。
いずれにせよ、インフレになって、例えば物価上昇率が2.0%になったとして、年金は1.1%しか増えません。