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2015年~2017年バックナンバー

ドイツ連立協議決裂・メルケル氏の4期目続投に暗雲

 ドイツでは、平成29年9月24日に連邦議会選挙がありました。

 

 総議席は709議席、過半数は355議席です。

 

 キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)246議席、社会民主党(SPD)153議席、「ドイツのための選択肢」(AfD)が94議席、自由民主党(FDP)が80議席、左翼党69議席、緑の党が67議席です。

 CDU・CSUが中道右派、SPDが中道左派で、左から右に並べると、順に、左翼党、緑の党、SPD、FDP、CDU・CSU、AfDの順になります。

 

 

 153議席をえているSPDは、連立には参加しません。

 

 連立に参加したために、CDU・CSUとの差を打ち出せず、議席を大幅に減らしました。

 

 過半数の355議席から、CDU・CSU246議席を引いた109議席を、他の等からかき集めないといけません。

 

 CDU・CSUは、「ドイツのための選択肢」(94議席)、左翼党(69議席)とは絶対連立を組みません。
 「ドイツのための選択肢」は極右、左翼党は極左です。

 

 CDU・CSUとしては、FDP(80議席)、緑の党(67議席)と連立する以外に、選択の余地はありませんでした。

 

 連立交渉は、平成29年10月半ばから約1カ月続いていました。

 

 親ビジネスのFDPと環境政党の緑の党の主張が激しく対立し、当初から波乱含みでした。

 

 終盤には互いに歩み寄りの姿勢もみせていましたが、妥協しすぎると党内を説得しきれなくなるとの懸念が各党それぞれに浮上し、合意の障壁となっていました。

 

 特に難民問題では、緑の党がシリアなどからの難民の家族を受け入れるように主張したのに対し、CDU・CSUとFDPが強く反対していました。

 

 地球温暖化対策では、緑の党が石炭火力発電の廃止を主張し、FDPなどが経済に悪影響を与えると反発していました。

 

 協議の決裂によって、今後の選択肢は、以下の3つとなります。
(1)CDU・CSUがほかの連立相手を探す
(2)少数与党政権
(3)再選挙

 

(1)については、第2党のSPDは下野する意向を繰返し示しており、連立協議に応じるかは微妙です連邦首相のポストを譲ってくれるならともかく、そのようなことは考えられません。

 過半数を握るのも、かなり難しい状況といえます。

 

(2)については、少数与党政権になれば、政策ごとに閣外協力などを得る必要があり、政権基盤は不安定となります。

 

(3)については、再選挙に踏み切るにしても、安定政権につながる結果を得られるとは限らず慎重論が強いという現状です。

 

 再選挙となれば、平成29年9月の選挙で国政に初進出した「ドイツのための選択肢(AfD)」がさらに得票率を伸ばす可能性もあるため、CDU・CSUなどはこれを回避したい考えです。

 

 しかし、再選挙しか、道はないかと思います。

 現在まで、例はありません。

 

 なお、ドイツ憲法(基本法)63条に規定があります。英訳をつけておきます。Bundestagは、連邦議会のこです。

(1) The Federal Chancellor shall be elected by the Bundestag without debate upon the proposal of the Federal President.

(2) The candidate obtaining the votes of the majority of the Members of the Bundestag is elected. The person elected shall be appointed by the Federal President.

 

(3) If the candidate is not elected the Bundestag may, within fourteen days of the ballot, elect a Federal Chancellor with more than one half of its Members.

 

(4) If no candidate has been elected within this period a new ballot shall be held without delay in which the person gaining most votes is elected. If the elected candidate has obtained the votes of the majority of the Members of the Bundestag the Federal President must make the appointment within seven days of the election. Failing that majority the Federal President shall either make the appointment or dissolve the Bundestag within seven days.

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