本文へ移動

2015年~2017年バックナンバー

ドイツ、難民受け入れ年間20万人に抑制へ 与党が方針

 平成29年10月8日、メルケル連邦首相率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)は、バイエルン州のみの姉妹政党キリスト教社会同盟(CSU)の要求をのんで、難民らの年間受入れ人数を20万人以下に抑制するとの協約に合意しました。

 

 もともと、姉妹党のキリスト教社会同盟(CSU)は、メルケル連邦首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の難民政策に異論を唱えていました。

 本来、キリスト教社会同盟(CSU)は保守的色彩が強いうえ、地理的な関係から、南からの難民はバイエルン州を通過することから、メルケル連邦首相の無制限の難民受入れの政策には批判的でした。

 

 CDUとCSUの関係は、よそ者には、よくわかりません。

 

 ドイツには16の州がありますが(ベルリン、ハンブルク、ブレーメンは1市で州と同格)、CDUは15州で候補者を出す政党で、CSUはバイエルン1州で候補者を出す政党です。CDUはバイエルン州では候補は立てませんし、CSUは、バイエルン州以外で候補は立てません。

 

 バイエルン州が大きいということはありません。
 最大の州は、ノルトライン・ヴェストファーレン州で1800万人、次がバイエルン州の1250万人、バーデン・ヴュルテンベルク州1000万人、ニーダーザクセン州 800万人、ヘッセン州 600万人、ザクセン州 430万人、ラインラント・プファルツ州 400万人と続きます。

 ドイツの総人口は8200万人で、バイエルン州は、たったの15%です。

 

 しかし、伝統的に、CDUに対するCSUの力は相対的に強く、発言力も強いですし、閣僚数も相対的に多く出します。連邦首相の候補者をだしたこともあります(当選したことはありません)。

 難民受入れについても、CSUの要求が通ったという側面が大きいです。


 CDU/CSUは、平成29年9月の総選挙で第1党を維持しましたが、大きく議席を減らしました。

 

 メルケル連邦首相は、難民受入れ人数の上限設定に抵抗してきたのですが、選挙結果を受け具体的な数値を設けることに同意しました。

 

 CDU/CSUは、中道保守の自由民主党(FDP)、環境政党の緑の党との3党連立政権樹立しないと過半数に届きません。
 FDP、緑の党を目指した交渉での同意を取り付け政権発足後、実行に移す順序となります。

 

 ドイツには平成27年に約89万人、平成28年に約28万人の難民らが流入しました。

 

 選挙で受け入れに反対する新興右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が初の国政進出を果たし、いきなり第3党に躍進したことから、ドイツ国民の大勢が、難民の無制限受け入れを拒んでいることが明確になっています。

TOPへ戻る