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2015年~2017年バックナンバー

ドイツの総選挙

 平成29年9月25日にドイツの総選挙がありました。

 

 ドイツの連邦議会選挙は、小選挙区比例代表並立制で、超過議席が発生する仕組みになっていますから、定数は一定しません。

 

 選挙前の総議席は630議席(法定定数598議席+超過議席24議席-1議席)、選挙後の総議席は709議席(法定定数598議席+超過議席111議席)です。

 

 メルケル連邦首相を首班候補者としていた中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)246議席(従前311議席)と惨敗し、また、社会民主党(SPD)も153議席(従前192議席)と惨敗しました。

 メルケル連邦首相勝利と報道されていますが、議席数は激減しています。

 連邦議会選挙前49.3%の議席があり、選挙後34.6%に激減していますから、日本なら党首がかわっているくらいの大敗です。

 

 国家主義政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が94議席(従前0議席)、自由民主党(FDP)が80議席(従前0議席)が議席を獲得し、左翼党が69議席(従前64議席)、緑の党が67議席(従前63議席)とほぼ横ばいです。

 

 小選挙区比例代表並立制といっても、ほぼ比例代表に近い制度ですから、戦後のドイツでは、すべて連立政権です。なお、比例代表といっても、5%条項といって、政党別投票の全国得票率が5%未満の政党は議席を与えられないという規定があり、FDPとAfDは、4%台後半であったため、議席が0になっていました。

 

 選挙前は、第1党のCDU・CSUと、第2党のSPDの大連立政権でした。

  CDU・CSUは、左翼党と連立するはずはなく、緑の党ではなく、SPDと連立を組みました。

 

 しかし、今回のSPDの敗因は、大連立であったため、CDU・CSUの批判をすることができなかったという部分が多いと考えらるということから、SPDは、次期政権には参画せず、野党として2021年の連邦議会選挙にのぞむ方針です。

 

 今回の選挙後の議席数の過半数は355議席で、CDU・CSU(246議席)は、SPDから連立を断られ、また「ドイツのための選択肢」(難民の受け入れに反対のため)や左翼党(労働者保護の過剰のため)と連立するはずはなく、かといって、FDP(80議席)のみとの連立では足りず、緑の党(67議席)まで含めた3党連立しか選択肢はありません。

 

 ただ、FDPと緑の党では、エネルギー政策が全く違います。緑の党は、石炭火力発電所20カ所を段階的に廃止することを目指していますが、FDPは反対しています。

 

 また、与える閣僚ポストも大変です。
 財務大臣のポストさえ危ういといわれています。

 交渉は難航しそうです。

 

 「ドイツのための選択肢」がはじめて連邦議会レベルで議席を獲得したことばかりが騒がれますが、メルケル首相が、いわば「茨の道」を歩むことになります。

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