2015年~2017年バックナンバー
エレベーターの制限重量
エレベーターの制限重量というのがありますね。
制限重量をオーバーするとブザーが鳴り、最後に乗った人が「気まずい」思いをしたり、場合によっては、先に乗っていた体重の重そうな人が「じろっ」とみられたします。
制限重量は、どのように決まっていると思いますか。
まず、ロープ式エレベーターの駆動方式は、「ドラム式」「つるべ式」に分類することができます。
「ドラム」式は、単純に、モーターでエレベーターをワイヤで引っ張り上げる方式です。
現在のロープ式エレベーターの多くは「つるべ式」を採用しています。
現在のロープ式エレベーターの多くは「つるべ式」を採用しています。
「つるべ式」のエレベーターは、人が乗る「かご」と、「つり合わせるおもり」がワイヤーロープによって「つるべ式」につながっており、モーターを制御して「かご」を昇降させる方式です。
「つるべ式」の特徴は、かごとつり合いおもりをつり合わせているため、モーターにかかる負荷が半減され、モーターの容量を小さくすることができることです。
エレベータのモーターを高機能にする必要がない分安くできます。
たとえば、規定加重(「かご」+「人」)が700kgのエレベータの場合を考えます。
重りがない場合(ドラム式)
700kgまで持ち上げられる性能がモーターには要求されます。
700kgまで持ち上げられる性能がモーターには要求されます。
重りがある場合(つるべ式)
かごが100kgとします。
重りを400kgにしておきます。
すると、人が乗っていない場合は、重りの方が300kg重くて、300kgの重りを持ち上げる性能のモーターですみます。
かごが100kgとします。
重りを400kgにしておきます。
すると、人が乗っていない場合は、重りの方が300kg重くて、300kgの重りを持ち上げる性能のモーターですみます。
逆に、人の制限重量を600kgとして、かごとあわせて700kgにすれば、かごと人の方が300kg重くて、300kgの重りを持ち上げる性能のモーターですみます。
つまり、ドラム式の半分以下の性能ですむのです。
現在の「つるべ式」の場合、「重りの重量」-「かごの重量」が、「制限重量」ということになります。
もちろん、何かの場合に備えて「のりしろ」(マージン)はとっているでしょうが、基本的には、制限重量を超えると、モーターが動かなくなるおそれがあるということです。
「のりしろ」がないと、動かないだけというのならいいのですが、モーターが故障して落下してしまいますと、加速度がついて大きな惨劇をまねきかねません。