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2015年~2017年バックナンバー

メルケル首相「欧州が他国に頼れる時代は終わった」

 ドイツのメルケル首相は、平成29年5月29日、前週に出席したイタリアにおけるG7(先進国主要7か国首脳会議)などを振返り、アメリカのトランプ大統領を念頭に「ヨーロッパが他国に完全に頼れる時代はある程度終わったと、私は、この数日で感じた」と述べ、名指しはしなかったものの、アメリカのトランプ大統領への不満を示しました。
 
 対テロや北朝鮮問題は完全に一致です。
 
 それはそうですね。
 
 貿易問題については、アメリカは最終的に「開かれた市場を堅持し、保護主義と闘う」との文言を首脳宣言に盛り込むことを受入れました。
 
 問題は地球温暖化対策です。
 
 メルケル首相は、「ヨーロッパは、自分たちの運命を自分たちで切り開いていくしかない」と述べてヨーロッパが地球温暖化対策などを主導していく必要性を訴えたとあります。
 
 トランプ大統領は、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」にとどまるかどうか明確に示しませんでした。
 
 もっとも、地球温暖化対策は、いくら先進国が二酸化炭素を排出しないようにしても、先進国であるアメリカや新興国である中国が、経済優先とばかりに二酸化炭素を排出しつづけたのでは何の意味もありません。

 ドイツが「欧州が他国に頼れる時代は終わった」というのが軍事的なことを意味するのであれば大変です。
 
 ロシアはウクライナからクリミア半島を奪い、さらに、ウクライナ東部を実質占領しています。
 
 ロシアの次の標的であるバルト3国(ラトビア・エストニア・リトアニア)といわれています。
 
 いずれもNATO加盟国です。
 
 バルト3国は、いずれもソ連の一部でしたからロシア民族が住んでいます。
 
 反政府武装組織「バルト3国人民解放戦線」をつくり、また、自国民保護を名目としてロシアが侵攻するかも知れません。
 
 ひとたまりもないでしょう。
 
 1949年4月4日にアメリカのワシントンで締結された北大西洋条約(ワシントン条約) 5条には「締約国は、ヨーロッパまたは北アメリカにおける1以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃とみなすことに同意する」「そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合憲章第51条の規定によって認められている個別または集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復しかつ維持するためにその必要と認める行動(兵力の使用を含む)を、個別的に及び他の締約国と共同して直ちにとることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する」と定められています。
 
 NATOがワシントン条約5条を発動すれば、それは西側がロシアに宣戦布告すると同じです。
 
 トランプ大統領が第3次大戦の危険を冒してもバルト3国を奪還にいくかどうか疑問符が付きます。
 
 「ヨーロッパは、自分たちの運命を自分たちで切り開いていくしかない」として、アメリカ抜きの、ドイツ軍を中心としたNATO軍が戦うのでしょうか。
 
 ちなみに、ドイツ軍は存在し、NATOという集団的自衛権の行使は認められていますが、ドイツ軍はNATO軍の指揮下にあります。
 
 日本の隣にドイツがいなかったことは幸いです。
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