本文へ移動

2015年~2017年バックナンバー

70年目の和解

安倍首相は、平成27年4月29日、米上下両院合同会議において演説をしました。

 上院議長として出席したバイデン副大統領(民主)は、記者団に「最も気に入ったのは、首相がアジアの近隣諸国に共感を伝えたことだ」と、歴史問題への言及を称賛し「中韓両国との関係で微妙なテーマだが、首相は日本の側に責任があることを明確にしたと思う」と評価しました。
 議長役を務めたベイナー下院議長(共和)は「第2次大戦中に戦死した英雄に言及したことに、本当に感謝している」との談話を発表した。
 スティーブ・コーエン下院議員(民主)は「傑出した演説。第2次大戦がもたらした死と悲しみを認めたこと、女性(の活躍)に言及したことは適切だった」と指摘しました。
 レーガン元大統領のスピーチライターだったダナ・ローラバッカー下院議員(共和)は「Aプラスの演説だった」とたたえました。

 安倍首相は、日本とアメリカの歴史的和解を演出するため、第2次世界大戦の硫黄島の戦い当時に大尉として参戦したアメリカ軍のローレンス・スノーデン氏(93)と、硫黄島守備隊司令官だった栗林忠道陸軍大将の孫であるの新藤義孝自由民主党議員を傍聴客に座らせました。 

 「硫黄島で日米合同慰霊式典 閣僚初参加」

 平成27年3月21日、第二次世界大戦で激戦地となった硫黄島(東京都小笠原村)で、日米合同の慰霊式典が開かれました。

 アメリカ軍は、昭和20年2月に島に上陸し、栗林忠道陸軍中将を最高指揮官とする日本軍守備隊は地下壕を島中に張り巡らして、およそ1カ月の間、徹底抗戦した後、玉砕しています。

 中谷元・防衛相や塩崎恭久厚生労働相、日本とアメリカの退役軍人、遺族など約550人が参列し、日米合わせて約2万9000人(日本兵約2万2000人、米兵約7000人)に上る戦没者を追悼しました。

 硫黄島協会の寺本鉄朗会長はあいさつで「日米が恩讐を超え、追悼式が盛大に開催されたことに衷心より感謝する」と述べ、島での戦闘を経験したスノードン元海兵隊中将は「『昨日の敵が今日の友』となり名誉の再会ができた。日米両国の結束を世界に示している」と強調しました。

Ladies and gentlemen, in the gallery today is Lt. Gen. Lawrence Snowden.
Seventy years ago in February, he landed on Ioto, or the island of Iwo Jima, as a captain in command of a company. In recent years, General Snowden has often participated in the memorial services held jointly by Japan and the U.S. on Ioto.
He said, and I quote, "We didn't and don't go to Iwo Jima to celebrate victory, but for the solemn purpose to pay tribute to and honor those who lost their lives on both sides."

Next to General Snowden sits Diet Member Yoshitaka Shindo, who is a former member of my Cabinet. His grandfather, General Tadamichi Kuribayashi, whose valor we remember even today, was the commander of the Japanese garrison during the Battle of Iwo Jima.

Enemies that had fought each other so fiercely have become friends bonded in spirit.
To General Snowden, I say that I pay tribute to your efforts for reconciliation. Thank you so very much.

 みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、仰っています。「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ」。もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。本当に、ありがとうございました。

 なお、英語と日本語訳は少し違いますね。

 安倍首相に紹介されたローレンス・スノーデン氏と新藤義孝自由民主党議員が握手を交わすと、上下両院の議員たちは総立ちになって拍手喝采した。安倍首相は「し烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になった」「これを歴史の奇跡と呼ばずして何と呼ぶのか」と述べました。


 歴史的和解の演出は見事でしたね。

TOPへ戻る