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2015年~2017年バックナンバー

歯科医師の不況

 少し古い記事ですが、歯科医師の不況の記事です。

 「ビジネスジャーナル・歯科業界の悲惨な実態!コンビニより多く過当競争、破産・夜逃げも続出...」

---引用開始---

 30年近く前のバブル景気の頃、脱税御三家といわれた職種は「歯科医・産婦人科医・パチンコ店」の3業態でした。歯科診療においては1970年代に画期的な診療技法が加わったことで、保険外の自由診療の治療を望む人が多くなり、歯科診療所には患者があふれました。予約がひっきりなしでレジには万札がうなった診療所も少なくなかったといいます。

 ところが90年代に入り、次々と保険診療の幅が広げられたことで、高額な自由診療による儲けは期待できなくなります。そのうえ、厚生労働省は歯科医師が不足と見立て、歯科大学の新設・定員増で、歯科医の数が毎年3000人単位で増えるまでの状況にしたのですから、業界はたまりません。30年前は子供の9割に虫歯がありましたが、今では歯磨き習慣と早期治療でどんどんよくなり、半分以下に減っています。患者の人数そのものも減少傾向なのです。

 しかし、診療報酬は20年以上横ばいのままで、マイナスとなった項目まであり、近年の日本歯科医師連盟(日歯連)による政治家へのヤミ献金事件や、つい最近の迂回政治献金事件を引き起こすまでに業界は追いつめられました。診療報酬が上がらないのでは、政治家に献金してアップを働きかけるよりなかったからです。

 かつての脱税御三家はいずれの業態も右肩下がりですが、今日とりわけ悲惨な状況に置かれているのは歯科医なのです。

「憧れの職業」からの転落

 「結婚するなら医師」と今でも女性の多くが憧れる職業ですが、医師は医師でも歯科医は70~80年代頃は猛烈に稼げたものの、今では年間1600件もの廃業が相次ぐ職業になっており、うち2~3割は「夜逃げ」や「倒産」といわれています。厚労省はこうした事態に慌てて04年から歯科医師国家試験の難易度を上げてきましたが、もはや手遅れでした。
 82年と12年を比較すると、医師免許保有者数と歯科医師免許保有者数は、いずれも1.6倍程度に増えています。しかし、医師のほうは多くの診療科目を有する全体での数字ですが、歯科診療は事実上、単独診療科目での数字です。

 厚労省の統計で12年の医師免許保有者数は約30万人、これに対して歯科医師数は約10万人です(日本医師会公表データでは、現役稼働医師数は約17万人)。これでは、いくらなんでも多すぎです。

「コンビニよりも多い?」

  歯科医師の場合は、病院での診療科目になっているところも少ないため、大きな病院である程度勤めると、自らが診療所を開業するケースが7割近くに及びます。そのため、全国に約6万8000の診療所となり、約5万3000店のコンビニの数より多くなってしまっているのです。80年代は、人口10万人当たり30数人だった歯医者さんが、今では80人近くになったのです。

 14年の勤務医の平均年収1146万円に対して、勤務歯科医は734万円です(厚労省「賃金構造基本統計調査」)。前年の13年には勤務医の平均年収が1072万円で、勤務歯科医は621万円でしたから、どういうわけか医師が74万円増、歯科医師が113万円増と、かなり異常な増加で持ち直しています。 

 公表上の報酬があまりに安いままだと医大経営にも響くとばかりに、厚労省が集計方法を一部都合よく修正したのではないかとの見方も多いですが、本当に上がったのならば喜ばしいことでしょう。たしかに東京都内は診療所乱立で過剰ですが、地方に行くと、家賃が安いので勤務医の報酬も高くなる傾向があります。

独立開業は「命がけ」

 ちなみに、6年制の歯学部卒業には、公立で600万円、私立だと3000~6000万円もかかります。私立に行くのは親が開業医の場合も少なくないとはいえ、3000万円以上もの学費をかけたら元を取るのも大変です。それでも「開業医になれば勤務医よりは儲かるだろう」と考えて開業する人が、年間2000人は下らないわけです。

 しかし、診療所のテナント代だけで300~500万円、床上げ配管や内外装工事に1500万円、医療機器に1200~1500万円、広告費や開業時の材料費、事務機器費用、運転資金に1000万円は必要です。東京都内だと4000~5000万円かかり、毎月の家賃も割高です。自己資金1000万円が工面できたとしても、残り3000~4000万円は金融機関からの借金です。

 診療所の経営が1年経っても2年経っても軌道に乗らなかった場合、これはもうやっていけません。その結果、夜逃げによる失踪、自己破産という結末になってしまう開業歯科医が少なくないのも現実です。

---引用終了---

 弁護士業界も他人事ではありません。

 大学と法科大学院の奨学金、司法研修時代の貸与金の合計が1000万円を超えている新卒弁護士も珍しくありません。

 ただ、弁護士は、就職先がなく独立するとしても、独立資金は知れていますね。
 自宅でするなら、コピー・ファクシミリの複合機とコンピュータくらいでしょうか。

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