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2015年~2017年バックナンバー

線路の幅

私は、通勤に阪急電車を利用しています。

 何気なく線路を見ていると、JRに比べて広い気がします。

 日本には、主として、2つの線路幅があります。

 JR在来線を中心とする1067mmの線路幅で「狭軌」と呼ばれます。
 新幹線以外のJR線は1067mmの線路幅の「狭軌」です。
 関西の私鉄のうち、南海電鉄と近鉄の一部は1067mmの線路幅の「狭軌」です。

 もう一つは、線路幅が1435mmで「標準軌」と呼ばれます。
 JR新幹線が、線路幅1435mmの「標準軌」です。
 関西の私鉄は、阪急、阪神、京阪、近鉄(南大阪線を除く)は、線路幅1435mmの「標準軌」ですし、大阪市営地下鉄も「標準軌」です。
 関西地方に住んでいれば、結構「標準軌」を利用することになります。

 なお、電車の「相互乗入れ」というのがありますが、「軌道」が同じでなければなりません。
 阪急と大阪市営地下鉄は「相互乗入れ」しています。両方「標準軌」です。
 阪神と近鉄奈良線も「相互乗入れ」しています。両方「標準軌」です。


 ヨーロッパに行けば、線路幅が1435mmの「標準軌」が原則です。
 鉄道発祥の国、イギリスで、最初に走った機関車の車輪幅が1435mmで、その後、欧米各国に鉄道が延伸するつれて、この幅が国際規格とされるようになりました。

 ドイツもフランスもスイスもオーストリアもイタリアも「標準軌」です。
 国際列車が平気で走っているのはこのためです。
 スペインの鉄道は、標準軌より広いのですが、これは、国防上、わざと広くしているといわれています。


 JRの在来線は、1067mmの「狭軌」です。
 鉄道網整備のための建設費用や工期との兼ね合いによるものとの説が有力です。
 明治時代の日本は貧しかったですし、山あり谷ありで、なだらかな地形のヨーロッパに比べ、線路の引きやすい「狭軌」が採用されました。

 新幹線は、昭和39年の開業ですが、戦前の「弾丸鉄道」計画に基づき、高速走行を実現するために「標準軌」の「専用軌道」を採用しました。

 日本の新幹線は、時間に正確ですが、「専用軌道」を採用していることも理由の一つです。
 ドイツのICEやフランスTGVは、高速鉄道と在来鉄道が、同じ線路を走るわけですから、そう簡単にいきません。


 台湾は、1067mmの「狭軌」です。
 日本の省線(国鉄・JR)の線路幅が「狭軌」だったので、日本が支配下に置いた台湾も「狭軌」を採用しました。
 台湾の在来線は、現在も「狭軌」です。
 もっとも、台湾の高速鉄道は、日本の新幹線そのものですから「標準軌」となっています。

 同じく、日本に併合された朝鮮半島では1435mmの「標準軌」が採用されました。

 朝鮮半島で新たに線路を敷くのであれば、最初から大きな輸送力を得るために、幅の広い線路の方がよいという意見が多数を占めたというのが理由の1つです。

 もっとも、それなら台湾も同じです。

 朝鮮半島は大陸と陸続きです。

イギリスが、清に敷設していた鉄道の線路は、イギリス本国と同じく「標準軌」で、この線路幅と同じ幅の鉄道を敷いておけば、イギリスの敷いた鉄道も利用して、貨物や人を積み替えることなく軍需物資の供給を期待できるという事情がありました。

 南満洲鉄道(満鉄)も、「標準軌」で、日本がアジア大陸と朝鮮半島にひいた線路は、日本の内地の総延長キロを越えていました。

 韓国は、日本のインフラを利用していますから「標準軌」です。

 高速鉄道は、フランスのTGVを採用しましたが、「標準軌」ですから、在来線と同じ線路を走っています。

 韓国の高速鉄道であるKTXは、在来線の列車との衝突事故をよく起こします。
 その理由は、KTXと在来線とが同じ線路を走っていることから起こります。

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