2015年~2017年バックナンバー
少年の実名報道
精神疾患が疑われない被疑者による、残客非道な殺人事件であり、本格的に少年法の改正に取組むべきかもしれません。
少年法が制定された昭和23年当時と比べて、今の若者たちは肉体的にも精神的にも成熟しています。
また、「20歳以上」だった選挙年齢を「18歳以上」に引き下げる公職選挙法案が、平成27年1月に召集された通常国会で成立される見通しであるなど、時代は様変わりつつあります。
ちなみに、先進国首脳会議(G7)のメンバーをみると、イギリス・イタリア・ドイツ・フランスは、いずれも18歳、アメリカ(州によって異なり18歳、19歳、21歳)、カナダ(州によって異なり18歳、19歳)で、20歳を成人としている国は日本だけです。
まず、少年法を改正して、18歳以上を成年とすべきでしょう。
そうすれば、今回の事件の主犯の被疑者については、少年法の適用がなかったことになります。
「少年の実名等報道を受けての会長声明」をご覧下さい。
少年法61条には、以下のとおり定められています。
「 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」
ただ、罰則はなく、民事訴訟を提起される可能性がある程度です。
平成27年3月5日発売の「週刊新潮」は、平成27年2月20日に神奈川県川崎市で中学1年生男子の遺体が発見された事件について、被疑者である少年の実名を挙げ、顔写真を掲載したこと、これは、少年の犯行について氏名、年齢等、本人と推知することができるような記事又は写真の報道を禁止した少年法61条に反する事態であり、誠に遺憾とするものです。
弁護士会という立場からは当然のことでしょう。
もっとも、各弁護士は、それぞれ意見が異なることも、また、当然のことでしょう。
私自身は、問題はないと思います。
事件発覚直後から、インターネットでは犯人だとされる少年らの顔写真や名前などが出ていました。
本件の被疑者が3名ということは、関係のない少年の顔写真や名前などが出ていたということになります。
「週刊新潮」が出版され、「濡れ衣」にすぎなかったことを証明できて喜んでいる少年や保護者もいるでしょう。
ちなみに、日本弁護士連合会会長の声明には「国際的に見ても、子どもの権利条約40条2項は、刑法を犯したとされる子どもに対する手続のすべての段階における子どものプライバシーの尊重を保障し、少年司法運営に関する国連最低基準規則8条も、少年のプライバシーの権利は、あらゆる段階で尊重されなければならず、原則として少年の特定に結びつき得るいかなる情報も公開してはならないとしている」と記載されています。
先進諸国に、日本の「少年法61条」のような規定があるなら、端的に「どこの国と、どこの国の少年法では」と記載すべきものです。
書けないから書いていないと疑われても仕方ありません。
特に、被疑者が逃亡していても、写真を出してはいけないというなら、無茶としかいいようがありません。