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雑記帳

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セキュリティ・クリアランス制度

 令和6年2月27日、経済安全保障上、重要な情報にアクセスできる人を、国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設に向けた法案が、閣議で決定されました。

 閣議決定された新たな法案によりますと、サイバー攻撃に関する情報や、物資の供給網=サプライチェーンの、脆弱性に関する情報など、漏洩すると日本の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを「重要経済安保情報」に指定し、これらにアクセスできるのは、民間企業の従業員も含め、国が信頼性を確認した人に限定するとしています。

 確認にあたっては、本人の同意を前提に、国が、家族や同居人の氏名や国籍などのほか、犯罪歴や薬物や飲酒に関する情報、経済的な状況などを調査します。

 家族や同居人の国籍を調べるというのは、例えば、日本の仮想敵国の親族がいる場合、例えば、妻が中国籍であった場合、妻に安全保障上の秘密を漏洩する恐れがあるなどするからです。
 犯罪歴や薬物や飲酒に関する情報は説明するまでもないですね。
経済的な状況については、サラ金から借金をしまくっている人は、目先の金ほしさに、安全保障上の秘密を漏洩する恐れがあるからです。

 重要情報を漏えいした場合は、5年以下の拘禁刑や500万円以下の罰金が科されるほか、勤務先となる企業にも罰金を科すことができるとしています。

 この法案について、政府は、今の通常国会での成立を目指しています。

 セキュリティークリアランス制度の整備はわが国の情報保全の強化や日本企業の国際的なビジネスの機会の拡大につながります。
 日本を除くG7各国では、こうした情報についてもアクセスできる人を限定する制度が整備されていて、経済界などからは、各国と同様の制度を求める声が上がっていました。
 つまり、セキュリティークリアランス制度は、従前の日本にはなかったものでしたが、同盟国などと同じレベルの法制度を整備することで、同じスタートラインに立って日本企業がビジネスをできたり、政府間で経済や科学技術に関する貴重な情報を交換できるたりする環境をつくる必要があります。信頼性が認められることで、国際的に一歩踏み込んだ情報連携が可能になり、技術の進歩にもつながることが期待されます。

 NECは、50以上の国や地域で通信インフラの整備やITサービスなどを展開し、現地の政府や企業との先端技術の共同研究などにも取り組んでいます。
 これまで、ビジネスの相手からは機密性が高いことを理由に、情報の提供を受けられないケースもありましたが、制度が創設され、従業員が認定を得られれば国際的な信用が高まり、情報を得やすくなるのではないかと期待されています。
 また、アメリカにある子会社では、アメリカ政府の機密情報を扱うビジネスも行っているものの、現状では、そのビジネスのノウハウを日本に共有することが認められていません。制度が創設され、アメリカ政府などにも認められるものになれば、子会社とのノウハウの共有が可能になるかもしれないとみています。

 米中の対立やロシアによるウクライナ侵攻などで、経済安全保障の強化が迫られる中、今回の法案は、「特定秘密保護法」の対象ではないものの重要な情報を保護するねらいがあります。
 「特定秘密保護法」では、防衛や外交、スパイ、テロといった分野で特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定し、国が信頼性を確認した人に限って取り扱いを認めています。
 しかし、特定秘密には該当しないサイバー攻撃や、サプライチェーンのぜい弱性などに関する情報も、漏えいすると日本の安全保障に支障を与えるおそれが高まっています。
 こうしたことを受けて、今回の法案では、特定秘密には該当しないものの、国が持つ重要な情報を「重要経済安保情報」に指定し、国の調査で、外部に漏らすおそれがないと認めた人に限って、アクセスできるようにするとしています。

 対象になるのは、行政機関の職員のほか、国から重要情報の提供を受ける民間企業の従業員も含まれます。
 国の調査は、本人の同意を前提に、家族や同居人の氏名や国籍、犯罪や懲戒に関する経歴、薬物の使用や飲酒の状況、経済状況などについて、人事情報の確認や本人への面接、質問票の提出などによって行われる予定です。

 一度、認められると、重要情報にアクセスできる期間は10年で、調査の結果、アクセスが認められなかった人に対しては、本人が希望しなかった場合を除いて、その理由を含め、通知されるとしています。
 調査で得られた個人情報や調査結果は、重要経済安保情報の保護以外の目的で、利用したり、提供したりしてはならないと定められています。
 また、法律の適用にあたっては「拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならない」としています。


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