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雑記帳

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約束手形の決済期限を約60年ぶり改正、120日から60日に

 決済期限を120日(繊維業は90日)とする現在の運用ルールは、昭和41年に導入されました。
 高度成長期の当時は資金需要が旺盛で、大企業でも銀行からの融資を迅速に受けられない場合があり、約束手形を発行する側の資金不足を補うために許容されていました。

 バブル崩壊以降、市場が金余りの状態になっても見直しは進まず、中小企業へのしわ寄せの側面が目立っていました。
 約束手形は通常、発行する大企業は支払いを猶予できますが、受取り側の中小企業は数か月にわたって現金にできません。
 期限を前倒しして受取ったばあい、換金を急ぐ場合は、金融機関や他の取引先に裏書きして割引いてもらいますが、割引料が引かれ、手取りが実質的に減ります。
 手形の決済を待つ間に当座の運転資金の確保に迫られ、借金をするケースも少なくありません。
 資金繰りを懸念し、設備投資や賃上げをためらう要因にもなっていました。

 政府は、令和3年に民間企業に対し、決済期限を60日以内に変更するよう要請し、将来は法的基準も変更する方針を示しました。
 しかし、強制力がないため実効性を伴わず、支払いの早期化は大きく進んでいない。
 約束手形を巡って、政府は令和8年までの廃止を目標に掲げています。
 大手銀行は当座預金口座の新規開設者を対象に、紙の手形発行を停止する対応を始めていますがが、動きは鈍いといえます。
 法人企業統計によりますと、支払手形の残高はピークだった平成2年度末の107兆円から令和4年度末は23兆円まで減りましたが、2年連続で微増しています。

 公正取引委員会・令和5年2月22日付・手形等のサイトの短縮について


 公正取引委員会は、中小事業者の取引条件の改善を図る観点から、下請法等の一層の運用強化に向けた取組を進めており、その取組の一環として、令和3年3月31日に、公正取引委員会と中小企業庁との連名で、関係事業者団体約1400団体に対して、おおむね3年以内を目途として可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内とすることなど、下請代金の支払の適正化に関する要請を行いました。また、当該要請に伴い、令和6年を目途として、サイトが60日を超える手形等を下請法の割引困難な手形等に該当するおそれがあるものとして指導の対象とすることを前提に、下請法の運用の見直しを検討することとしています。
 本日、公正取引委員会及び中小企業庁は、手形等のサイトの短縮化の更なる促進を図るために、昨年度に引き続き、連名で、下請法に基づく定期調査においてサイトが60日を超える手形等により下請代金を支払っているとした親事業者約6000名に対し、可能な限り速やかに手形等のサイトを60日以内に短縮することを求める要請を行いました

 そして、政府は、約束手形の運用を約60年ぶりに改めます。
 決済期限を従来の原則120日から60日に厳格化する下請法の運用見直し案を公表し、令和6年2月29日から意見公募を行い、周知期間を踏まえて、令和6年11月の適用を目指すとしています。


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