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雑記帳

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出生率

 厚生労働省は令和6年2月27日、令和5年に生まれたこどもの数が約76万人と過去最少だったと発表しました。
 過去最少の更新は8年連続。また、婚姻件数は90年ぶりに50万組を下回るなど、今後も出生数の増加は厳しい状況が続くとみられます。

 令和6年2月27日に発表された人口動態統計(速報)によりますと、外国人も含めた昨年の出生数は75万8631人と前年よりも4万1097人減少しました。
 統計を開始した明治32年(1899年)以降、過去最少を更新しました。

 一方、令和6年の死亡数は昨年よりも8470人増の159万503人と3年連続で過去最多を記録しました。
 自然増減数についてもマイナス83万1872人と過去最大の減少となりました。

 また婚姻件数は48万9281組で、離婚件数は18万7798組でした。
 令和4年比で婚姻件数は6%減った一方で、離婚件数は3%増えました。

 コロナ禍での出会いの機会の減少や産み控えによる下振れなどもあり、少子化の趨勢が加速されているようです。

 国が掲げる目標は「希望出生率1.80」の実現です。
 欧米主要国の合計特殊出生率(令和2年)は、フランス1.82、スウェーデン1.66、アメリカ1.64、イギリス1.58、ドイツ1.53、イタリア1.24です。

 これらの欧米諸国と日本とを、先進国つながりということで単純に比較することは正しくありません。

 まず、外国人の割合がちがいます。
 日本の約2%に対して、上記の欧米諸国では1割前後が外国人で、外国人が出生率の改善に寄与しているといわれています。
 ちなみに、合計特殊出生率が最上位のフランスでは、出生数が回復期にあった2000年以降に注目しても、両親がフランス人というカップルから生まれた子は一貫して減少していて、フランス人と外国人のカップル、もしくは外国人同士のカップルから生まれた子が出生率を押し上げたています。

 次に、出生に占める婚外子の割合が違います。
 日本のの2.4%(令和2年)に対して、欧米主要国の比率は高く、フランス61.0%、スウェーデン54.5%、イギリス48.2%、アメリカ40.0%、イタリア35.4%、ドイツ33.3%である(イギリスの統計は2017年、その他の国の統計は2019年)。

 日本は、外国人労働者は受け入れつつも、公式には永住する外国人としての移民は受け入れていません。
 また、結婚しなければ子どもを産みにくい国です。
 移民を積極的に受け入れるかどうか、婚外子と母に優しい国になれるかどうかは、出生数を増やすという人口政策もからみ、大きな論点になるでしょう。

 女性の人権の重要な一つとして、子を産むこと、妊娠中絶をすることについて、女性が主導権を持つようになっています。
 また、「少なく産んでよく育てる」ことを望み、教育等にお金をかけるようになっていることからすれば、子育て支援の成果のかなりの部分は、子どもを増やすことより、よく育てることに向かうという事情もあります。

 出生数の減少が「有事」として声高に叫ばれるなかで、未婚の人や子どもを持たない人が疎外感を抱き、生きづらくなる風潮が生まれることは避けたいものです。
 日本は、同調圧力の強い国であるだけに、なおさらです。
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