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雑記帳

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中国GDP発表に疑義

 中国の習近平政権は「中国経済衰退」の言説をなす外国人を「反スパイ法」違反で拘束すると脅したうえ、国内のメディアやネットの締めつけも激化しています。

 令和6年2月2日付のアメリカのウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版によれば、国家安全部は、令和5年12月、「国家安全保障」を理由に、経済への否定的見解を出す者への警戒指令を発したと報じました。
 以来、中国のエコノミストやジャーナリストの論評がインターネットから姿を消したそうです。
 SNSの微信微博(ウェイボー)は当局の指示に従って、ネガティブなコメントを載せないようにしているようです。
 ただ、アメリカ大使館発のSNSは、さすがに消せないので、中国人が、全く関係のないスレに、暗喩のリプライをするという抵抗を見せています。

 中国の強権を恐れているのか、西側のメディアや金融資本は、昨年の実質経済成長率が5・2%と高水準を維持したとする国家統計局の国内総生産(GDP)発表に疑義をはさみません。
 そればかりか、国際金融の総本山、国際通貨基金(IMF)、さらには世界最大のシンクタンク、経済協力開発機構(OECD)も相次いで発表した世界経済予測で、中国に関しては当局の言い値通りの成長率をベースにしています。

 令和6年の中国実質成長率予想はIMFが4.6%、OECDが4.7%であり、米国についてはIMFとOECD、いずれも2.1%、日本についてはIMFが0.9%、OECDが1%です。

 景気拡大基調が続く米国の2倍以上の速度を中国は堅持だというのですから、中国共産党の思うつぼです。
 国際エコノミスト集団がよくもまあ、北京発表をそのまま全世界に向けて発信とはあきれます。

 GDPはざっくり言えば消費、固定資産投資、純輸出(輸出入の差額)の合計値です。
 それぞれの項目別のデータを拾い出し、GDP総額に占める比率、さらに前年比の増減率を算出すれば、概略、GDP成長率に占める割合がわかります。

 これらの数値は名目値で、当局のGDPも同じ原データを使うはずです。
 不可解なことに固定資産投資は原データが前年比マイナス12%なのに、GDP統計では大幅なプラスだとされています。
 固定資産投資の柱、不動産投資が16.5%減なので、固定資産投資大幅増はありえないのにはずにかかわらずです。
 これらの違いが当局発表の令和5年の成長率を名目で4.6%とした最大の要因です。

「李克強指数」というのがあります。
 中国の李克強首相が提案したもので、1 鉄道貨物輸送量、2 電力消費量、3 銀行の融資残高という3つのデータから、経済の現状を探ろうとするものです。

 経済活動が活発になれば、鉄道貨物の輸送量も電力消費量も増加、銀行融資が増えれば、設備投資などの企業活動が活発になっていることが推察できます。
 中国経済は巨大なので、経済活動の一部に着目し、そこから全体像を明らかにしようというわけです。
 李克強指数は、李克強氏が遼寧省の党書記だった時代に提唱したもので、政府が発表するGDPは人為的で信頼できないというのがその理由でした。
 実際、多くのエコノミストが、中国のGDPに大きな疑問を抱いています。

 中国では、有能な政治家が、疎んじられます。
 現在の首相は、習近平の側近で、反対しようとしません。

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