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雑記帳

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長期金利が1%あがれば国債の利払い費が10兆円以上も膨らむのか

 普通国債の発行残高は、令和4年度末(令和5年3月31日)に1043兆円です。
 単純計算で言えば、長期金利が1%上がれば、国債の利払い費が10兆円以上も膨らむ計算です。
 この金利上昇リスクは、令和5度当初の一般予算の歳出・歳入規模が114兆円強の日本政府にとって決して小さなものではありません。
 ですから、増税をしたうえ、緊縮財政につとめるべきであるという論者がいます。

 ただ、この手の話をする財政緊縮論者は、日本銀行の国債保有率について言及しようとはしません。

 令和5年1月から3月期の資金循環統計によりますと、日銀の国債保有割合(国庫短期証券を除く時価ベース)が令和5年5月末に53.3%です。
 日本銀行が得た最終的な利益、すなわち、所要の経費や税金を支払った後の当期剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として、国庫に納付されます(日本銀行法53条)。これを国庫納付金といいます。
 つまり、長期金利が1%上がったとき、1兆0430億円の利払いが増えますが、このうち53.3%は国庫納付金として政府に戻りますから、実質的に計算すれば、政府の利払いは、4870億円増加するにすぎません。

 令和5度当初の一般予算の歳出・歳入規模が114兆円強ということを考えれば、4870億円は知れてますね。

 日本銀行が、長期金利を、1%を目途にするとしていますが、日本銀行が、国債の半分以上持っているということを考えれば、大したことはありません。

 財政再建論者は、国債という負債の点のみ論じて、日本の有する財産の大きさを無視して議論する傾向にあります。片手落ちですね。

 なお、国の財政が破綻する確率の目安となるG7のCDSスプレッドは、令和6年2月18日時点で以下のとおりです。
 日本は、ドイツについて、5年内の国家破綻が低いと市場が評価しています。

Germany CDS 5 Year 13.51
Japan CDS 5 Year 22.17
France CDS 5 Years 24
UK CDS 5 Years 30.28
US CDS 5 Years 36.92
Canada CDS 5 Years 39.6
Italy CDS 5 Years 73.75


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