本文へ移動

雑記帳

雑記帳

新紙幣発行で何が起こる

 平成31年4月9日、令和6年度の上半期をめどに、1000円札、5000円札、1万円札の新札(新紙幣)を発行することが発表されました。

 千円札は北里柴三郎氏です。
 破傷風の血清療法を確立し、紀元前から人類を苦しめていたペストの正体であるペスト菌を世界で初めて発見した「近代日本医学の父」として有名な人です。

 5千円札は津田梅子氏です。
 日本人女性として初めての海外留学生となり、のちの津田塾大学を創設した日本における女性教育者のパイオニアです。

 1万円札は渋沢栄一氏です。
 銀行の創設をはじめ、生涯で500以上の企業と関わり、「日本の資本主義の父」とも称される実業家です。

 日本銀行が発行する紙幣や貨幣は、おおむね20年をめどに、そのデザインが変更されています。その理由は、偽造された紙幣が市場に出回り、通貨の信用が低下することを防ぐためです。

 海外旅行をすると、アメリカやヨーロッパでは、高額紙幣での支払いはあまり望まれません。場合によっては受領を拒否されたりします。
 高額紙幣は、レストランでの飲食後に、知らない顔をして出すのが正解です。
 クレジットカードを隠し、小額紙幣を財布から隠して支払い、高額紙幣を消化していきます。

 日本で高額紙幣が疑われないのは、海外の紙幣と比べると日本の紙幣に用いられている印刷技術は極めて精度が高く、これが日本での偽札の流通防止に大きく貢献しているからです。
 スイスも同様です。やはり、現金社会です。

 いつものことですが、新紙幣への移行にともない、どうして預金封鎖の噂が流れます。
 預金封鎖とは、文字通り、銀行などの金融機関に預けている預貯金が封鎖され、引き出しが制限されてしまう状態のことです。

 たとえば最近でも以下の国々で預金封鎖が行われました。
 1990年・ブラジル
 1998年・ロシア
 2001年・アルゼンチン
 2002年・ウルグアイ
 2013年・キプロス

 日本でも、1946年(昭和21年)に預金封鎖が行われました。

 第二次大戦後の日本は、空襲によって国内企業の生産設備の多くが消失したため、復興を目指す旺盛な需要に対して供給力がまったく追いつけない状態が続きました。
 その結果物資の価格は高騰を続け、昭和20年秋から昭和24年春までの約3年半の間、公定価格で年率100%以上、自由・闇価格で年率約60%の高いインフレを経験することとなりました。

 こうしたハイパーインフレを抑制する目的で行われたのが、昭和21年の預金封鎖です。
 昭和21年2月17日以降、全金融機関の預貯金を封鎖する現在流通している十円以上の銀行券(旧券)を、昭和21年3月2日限りで無効とし、昭和21年3月7日までに旧券を強制的に預入させ、既存の預金とともに封鎖する一方、新様式の銀行券(新円)を昭和212月25日から発行し、一定限度内に限って旧券との引き換えおよび新円による引き出しを認めました。
 タンス預金をあぶりだしたということになります。

 今回の新札発行は異なるでしょう。

 財務省のHPによると、現在発行されていない紙幣のうち、以下の紙幣は現在でも使えます。
 旧壱円券(大黒天:明治18年発行)
 改造壱円券(武内宿禰:明治22年発行)
 壱円券(武内宿禰:昭和18年発行)
 壱円券(二宮尊徳:昭和21年発行)
 五円券(彩文模様:昭和21年発行)
 拾円券(国会議事堂:昭和21年発行)
 百円券(聖徳太子:昭和21年発行)
 五拾円券(高橋是清:昭和26年発行)
 百円券(板垣退助:昭和28年発行)
 五百円券(岩倉具視:昭和26年発行)
 千円券(聖徳太子:昭和25年発行)
 五百円券(岩倉具視:昭和44年発行)
 千円券(伊藤博文:昭和38年発行)
 五千円券(聖徳太子:昭和32年発行)
 一万円券(聖徳太子:昭和33年発行)
 千円券(夏目漱石:昭和59年発行)
 五千円券(新渡戸稲造:昭和59年発行)
 一万円券(福沢諭吉:昭和59年発行)
TOPへ戻る