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2023年バックナンバー

雑記帳

珍事「力士が多すぎて飛べないので臨時便」

 令和5年10月12日、羽田発奄美大島行きの日本航空便で、奄美島で開かれた「かごしま国体」の相撲会場へ向かう乗客に、体重の重い相撲関係者が集まってしまった結果、重量オーバーになる可能性が高いとして、急きょ臨時便を設定し、乗客を分散して搭乗させたという事件がありました。

 重量制限での臨時便を設定するのは、かなりのレアケースと報じられています。
 これは、航空会社が「離陸重量・着陸重量・重心位置および重量分布」(Weight and Balance manifest)を守った結果によるものです。

 今回の臨時便による分散搭乗は、運航関係者がフライトごとに変わる機体の重量の把握に、いかに気を使っているかが改めて分かる事例となりました。

 航空機が安定して飛ぶには、乗客や貨物、燃料などを合わせた重量の把握と、機内でのきちんとした重量配分が欠かせません。過去には、離陸重量を誤り適切な速度をセットしなかったために、機首上げ操作後、胴体後部を滑走路で擦ってしまった事故もあるそうです。
 このため出発前の準備では、重心が定められた範囲内に来るよう求められます。
 その際に必要な手段や書式・形式がWeight and Balance manifestです。

 飛行機は機種ごとに最大の離陸重量(上限)が決まっているため、無制限に人や物を乗せていいわけではありません。人や貨物が多いときは調整して所定の重量内におさめる必要があります。
 また、飛行機のバランスとは重心位置のことで、重心が決められた所定の範囲内に収まっていないと飛行機は離陸してはいけないことになっています。

1 構造上の最大重量(Structual Limit)
2 離陸滑走路の長さによる制限重量(Field Limit)
3 離陸後の上昇率の制限による離陸重量(Climb Limit)
4 離陸経路上の障害物をクリアするための制限重量(Obstacle Limit)
5 巡航中に1つのエンジンが故障して高度が下がっても航路上の全障害物に衝突しないための制限重量(Enroute Limit)
6 着陸時の制限重量(Landing Limit)
7 翼の付け根にかかる荷重による制限重量(Zero Fuel Limit)
8 タイヤの強度による制限重量(Tire energy Limit)

 結構ありますね。

 私自身、令和5年8月、フランクフルトからチューリッヒに飛ぶスイス国際空港が、「Weight and Balance allocation」を理由に、約1時間出発が遅れたことがありました。
 飛行機は、スポットから全く動かず、乗客も動かず、荷物室で何かしていたのかも知れません。

 私自身は、チューリッヒ空港から市街電車3停留所のところにあるホテルに、最後の市電に間に合い、余分なタクシー代を払わずにすみました。
 もっとも、北米、南米の乗り継ぎ失敗により、チューリッヒ空港に取り残された乗客が相当いました。


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