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2023年バックナンバー

雑記帳

ホテルが「中国人団体客はいらない」と言い切る訳

 令和5年9月20日に、日本政府観光局(JNTO)が発表したデータによると、令和5年8月に日本を訪れた中国人の数は36.4万人でした。
 100万人いたコロナ禍前の3~4割にとどまっています(令和元年8月比)。
 令和元年には3188万人のインバウンド客が日本を訪れていましたが、そのうち30%が中国本土からの観光客でした。

 令和5年8月時点で、韓国人やアメリカ人はコロナ禍前を上回る数字となっていて、中国人観光客の回復の遅れは顕著です。

 中国、北朝鮮、ロシアのみ、福島第一原子力発電所処理水の放出に反対で、福島第一原子力発電所処理水の放出に逆ギレした中国が、中国人団体客の訪日を制限しています。
 中国人団体客が来ないと日本は困るだろうという考えですね。

 日本の観光市場にとって「お得意様」だった中国人観光客の消失を、ホテル側はどう思っているのでしょうか。

 ホテル側の受け止めはいたって冷静です。
 名門ホテルは「受け入れ態勢ができていないので、いま中国人団体観光客に来られても困る」として歓迎ムードです。他のホテルも異口同音に「中国人客のキャンセルなどによる影響はほとんどない」と語っています。

 実際、インバウンドを集客できる都内のホテルの経営状況はコロナから急回復しています。中国本土からの需要が回復していなくとも、家族やグループでの宿泊が多い他の国からのインバウンド客が増えたことで、宿泊人数が増加し客室単価の上昇につながっているのです。
 特に、札幌と福岡で顕著で、日本人も、おいそれと宿泊できる金額ではなくなっています。

 稼働率重視から客室単価重視への転換という事情があります。
 ホテルはこれまで稼働率を高く保つため、多少単価を安くても客室を販売してきました。
 しかし、コロナ禍を経てホテル各社は稼働率を落としてでも、客室単価を引き上げる戦略に切替えています。

 背景にあるのは空前の人手不足です。
 特に客室清掃や調理の人手不足は深刻で、コロナ禍前ほどの稼働を維持できなくなっていまする。
 また、客室を多く稼働させる場合はリネンやアメニティの交換、清掃などのコストがかかりますが、客室単価を上げればそうした費用は抑えられ収益性が向上します。

 ホテル側はコロナ禍後の顧客層の変化にも対応してきました。

 欧米インバウンド客や国内レジャー客は個人旅行が中心です。
 こうした個人客は、ホテルが提示した価格で予約をするため単価が高くなりやすいという傾向があります。
 他方、中国人は団体客が多く、団体客は数十名など大規模の予約が事前には入るため稼働が高くなりますが、旅行代理店へ客室を安く販売することが多いという事情がありました。

 人手不足が顕著ないま、「わざわざ客室稼働を上げ、単価を下げてまで中国人の団体客を取らなくてもいい」というのがホテル側の本音です。

 ただ、ホテル業界が、中国人団体観光客は不要といったところで、中国人団体観光客は来ます。
 また、日本人にしてみたところで、正直言って、マナーの関係で、中国人団体観光客は来てほしくないという人が多いでしょう。
 私自身、コロナ前、中国人団体客が宿泊しているホテルには、2度といきませんでした。
 他の国に旅行して、十分マナーを身につけてからなら歓迎します。

 今年の国慶節は、幸い少ないようです。
 春節シーズンである令和6年2月からは、我慢しなければならないかもしれません。
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