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2023年バックナンバー

雑記帳

安全そうでも危険な食品

 カレーは、料理したその日に食べてもおいしいですが、お鍋の中で一晩寝かせて、翌日食べると結構おいしく食べられます。

 私がドイツに留学していたとき、自分でカレーを作って食べていたのですが、1人前だけつくるということは事実上無理で、どうしても、翌日以降に残ってしまいます。
 ちなみに、カレールーは日本食品を売っている店がボン市にありましたから、そこで購入し、牛肉、ジャガイモ、タマネギ、にんじんなどは現地で売っています。
 米は、日本食品を売っている店で日本米(カリフォルニア米)を購入していたこともありますが、慣れくるとタイ米でも平気になり、圧倒的に値段が違いますから、カレーライスにするならタイ米を使うようになりました。

 話を戻して、平成29年3月8日夕方から翌朝にかけて、東京・世田谷の私立幼稚園の園児67人と教職員9人の計76人が次々と、下痢や腹痛、嘔吐の症状を訴えたという事件がありました。
 複数の患者の便からウェルシュ菌が検出されました。
 保健所はカレーが原因と断定しまし。
 カレーは、平成29年3月7日午前11時ごろから、教職員と園児が職員室で、二つの大きな鍋を使って作り、そのままの状態で、一晩常温で保存し、食べる直前に再加熱したということです。
 ウェルシュ菌の中には「芽胞」という殻のような状態になるものがあり、熱に強い芽胞は、100℃で60分間熱しても死滅せず、そのため、調理の際に煮沸してもウェルシュ菌が残り、その後増殖して食中毒を引き起こす可能性があるそうです。
 常温で保存し、温度が55度程度まで下がってくると芽胞から新しい芽が出て菌が増殖し始め、特に43℃~45℃で急速に増え、料理にとろみがついていたり、量が多かったりすると、温度はゆっくり下がるため、菌が増殖する時間も長くなることになります。
 すぐに食べれば問題はないのですが、一晩寝かせている間に、ウェルシュ菌が繁殖して、食中毒をおこさせるということですね。

 別の事件ですが、蜂蜜入りの離乳食を与えられていた生後6カ月の男児が亡くなったという事件がありました。
 市販のジュースに蜂蜜を混ぜて1日2回、約10グラム飲ませていたそうですが、けいれんや呼吸不全などの神経症状が出て入院し、ボツリヌス菌が原因の「乳児ボツリヌス症」と診断され、ほどなく死亡したとのことです。
 いたましいことですね。
 蜂蜜には「1歳未満の乳児には与えないで下さい」と表示がしてあります。
 ボツリヌス菌は、蜂蜜の場合、酸素が苦手な菌が自分を守るために殻を作り出した「芽胞」という形態で存在し、低酸素状態になると発芽して強い毒を出すそうです。
 1歳までは腸内の菌の種類が大人と違い、消化吸収の機能も未熟なため、腸内で増殖しやすく、重症化すると呼吸困難や呼吸停止に至ることもあるということです。

 思わぬところに危険が潜んでいることになりますね。 
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