本文へ移動

2023年バックナンバー

雑記帳

タンス預金

 令和6年度上半期(令和6年10月末)を目途に、1000円、5000円、1万円紙幣が一新される予定になっています。
 現在の紙幣は、平成16年の新札流通から、令和6年の次の新札流通まで20年、感覚があるということになります。
 ちなみに、福沢諭吉が1万円札の肖像になったのは、昭和59年のことですから(1000円札は野口英世ですが、平成16年までは夏目漱石。5000円札は樋口一葉ですが、平成16年までは新渡戸稲造)、1000円、5000円、1万円が総替えになるのは、久しぶりです。

 新紙幣の一般的な目的や動機としては、偽造防止とされています。
 通常は、偽造防止です。
 ただ、あまり、福沢諭吉の偽造1万円札が出回ったとは聞きません。

 あとは「タンス預金」のあぶり出しでしょう。
 もちろん、旧札は使えます。昔の聖徳太子の1万円札も使えます。
 ただ、旧札をたとえば1万枚持って銀行に預け入れようとすると、根掘り葉掘り聞かれます。盗難もありますし、マネーロンダリングもあります。

 そもそもなぜ「タンス預金」をするのでしょうか

 自宅に数万円おいておくのは普通のことです。
 手元にまとまった額の現金があれば、緊急の支払いができます。
 これは普通でしょう。タンス預金とはいいませんね。
 ちなみに、私は、自宅に何万円単位の現金はおいていません。最寄りのコンビニで下ろせばいいだけですから。

 ペイオフが怖いという人もいるでしょう。
 もっとも、銀行が破綻しても、1銀行1000万円までは保護されますし、大阪市などの都会なら、地方銀行の支店を含めれば、よほどの大金持ちでもなければ預金すればすみます。また、国債なら、一銘柄につき一申込みあたり額面金額3億円、つまり、実質的に制限はありません。紙幣=日本銀行券と日本の国債の信用は同じでしょう。

 相続発生時に口座が凍結されても困らないためにという考えはあったでしょう。もっとも、現在は、相続税法が改正され、相続人が、被相続人名義の預金を単独で150万円引出せますし、葬儀自体が簡略化される傾向にありますから、相続人2人が引き出せば十分かもしれません。

 国に個人の資産を把握されないということはどうでしょう。
 預金口座にマイナンバー登録が義務付けられているため、国は金融機関に預金している個人の資産保有額は把握していると見るのが相当でしょう。
 タンス預金にしておけば、マイナンバーに紐づけられないため、長期間タンス預金しておけば、国に個人の資産を把握されずにすみます。

 日本銀行の資金循環統計によると、令和4年12月末時点で家計部門が保有する現金が、前年比2.4%増の109兆円と過去最高となっています。
 背景には、高齢者を中心に自宅で現金を保管する「タンス預金」を増やす傾向が強まっていることもあるでしょう。

 家計部門が保有する現金109兆円のうち、どの程度の金額がタンス預金に回されているのかを正確に知ることは困難ですが、一般的にはおよそ30~80兆円あると言われていて、一般的に言われている規模のほぼ中間値となる55兆円程度の金額です。

 ただ、タンス預金にはリスクがあります。

 タンス預金をしていると、現金が火災や地震、洪水などの災害などで失われるリスクがあります。
 盗難リスクもあります。空き巣や強盗などの被害にあうということもあります。強盗の場合、お金だけでなく命も危ないですね。
 紛失リスクもあります。特にタンス預金を長期間放置すると、本人も現金を保管した場所を忘れてしまい、気づかないうちに紛失してしまうリスクがあります。本人死亡の場合、遺族がそれを知らずに処分してしまうリスクもあります。なお、日本は、現金を紛失しても警察に届けられる確率が世界中でトップクラスといわれますが、道で落とした財布だけではなく、タンスを廃棄する課程で警察に届けられるものも含まれます。

 55兆円のタンス預金のある国は他にあるのでしょうか。
TOPへ戻る